旺文社世界史事典 三訂版 「イル−ハン国」の解説
イル−ハン国
イル−ハンこく
Il Khan
フビライの弟フラグがアッバース朝を滅ぼして西アジアに建てたハン国
都はカスピ海南西のタブリーズ。モンゴル系四ハン国のうち,元朝に最も友好的であった。シリアの領有をめぐってエジプトのマムルーク朝と争ったため,初めイスラームに反対,ネストリウス派キリスト教を支持し,ローマ教皇やキリスト教国に接近した。しかし,13世紀末に即位した7代ガザン=ハンはイスラームを国教に定め,文化の興隆にもつとめ,宰相ラシード=ウッディーンによって『集史』として知られる世界史が編纂 (へんさん) された。14世紀になるとハン位争奪の内乱も起こって衰退し,ティムールの攻撃を受けたのち分裂して滅亡した。
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