アメリカ南部連合(読み)アメリカなんぶれんごう(英語表記)Confederate States of America

改訂新版 世界大百科事典 「アメリカ南部連合」の意味・わかりやすい解説

アメリカ南部連合 (アメリカなんぶれんごう)
Confederate States of America

南北戦争のとき合衆国から脱退した南部11州が結成した連合。奴隷制度の可否を焦点とする南北対立のなかで,1860年奴隷制反対の共和党からリンカンが大統領に当選すると,サウス・カロライナをはじめミシシッピフロリダ,アラバマ,ジョージア,ルイジアナ,テキサスの7州は次々に連邦を脱退,61年2月4日からアラバマ州モンゴメリーで会議を開き〈アメリカ南部連合〉を結成した。その憲法は,奴隷貿易は禁止するが奴隷制は認め,保護関税を禁止するなどの特徴を持っていたが,だいたいアメリカ合衆国のそれに似ている。正副大統領にはJ.デービスとA.H.スティーブンズが選出された。4月に南北戦争が始まると,バージニアアーカンソーノース・カロライナテネシーの4州がさらに南部連合に加わった。4年にわたる戦いの末,南部連合は降伏,連邦を脱退した11州は,やがて連邦議会内の共和党急進派の戦後再建政策の下で連邦に復帰する。南部独立の夢の失敗を,南部人は〈失われた大義Lost Cause〉と呼ぶ。
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百科事典マイペディア 「アメリカ南部連合」の意味・わかりやすい解説

アメリカ南部連合【アメリカなんぶれんごう】

リンカンの大統領当選後,1861年合衆国からの脱退を宣言した南部の7州(サウス・カロライナ,ミシシッピ,フロリダ,アラバマ,ジョージア,ルイジアナ,テキサス)が結成した連邦。南北戦争開戦後,さらに4州(バージニア,アーカンソー,ノース・カロライナ,テネシー)が加わり,首都をリッチモンドに置いた。奴隷制の擁護を主張したため,期待した英国援助を得られず4年にわたる戦いの末1865年敗戦とともに崩壊,連邦復帰。→奴隷廃止運動
→関連項目デービスニューオーリンズリッチモンド

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世界大百科事典(旧版)内のアメリカ南部連合の言及

【南北戦争】より

…1861‐65年の間に,アメリカ合衆国の南北両地域の間で行われた戦争。奴隷問題を焦点とする南北対立の中で,南部11州が連邦を脱退してアメリカ南部連合を結成し,連邦側はそれを阻止し,連邦を守ろうとして南北戦争が起こった。南北戦争は今日ふつう〈内乱Civil War〉と呼ばれているが,戦争中,連邦側は〈反逆戦争War of the Rebellion〉と呼び,南部連合側は〈独立戦争War of Independence〉と呼んだ。…

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