アカネ

デジタル大辞泉 「アカネ」の意味・読み・例文・類語

あかね【アカネ】[書名]

根岸短歌会機関誌。明治41年(1908)に「馬酔木あしび」が終刊したのち、三井甲之の編集により創刊短歌のほか小説、西洋文学批評なども掲載する総合文芸雑誌となるが、伊藤左千夫らが離反して「アララギ」を創刊したため、明治42年(1909)に休刊。明治44年(1911)、新聞として復刊したのち、大正元年(1912)に「人生表現」に改称、大正14年(1925)まで刊行された。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「アカネ」の意味・読み・例文・類語

あかね【アカネ】

短歌雑誌。明治四一年(一九〇八)創刊。大正一四年(一九二五)まで断続して刊行。正岡子規没後の根岸短歌会の機関誌。三井甲之を主宰として「馬酔木(あしび)」に続いて刊行されたもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「アカネ」の意味・わかりやすい解説

アカネ (茜)
(Indian)madder
Rubia cordifolia L.

山野に普通にみられるアカネ科の多年草で和名は赤い根の意味。古代より染料植物としてよく知られ,この根の煎汁をつかって茜染をする。染色のさい灰分が多いと赤みが勝ち,少ないと黄みが勝つ。漢方ではアカネの根を茜草根(せいそうこん)と呼び,止血や解熱強壮剤とし,咳止め,去痰作用や,平滑筋の収縮をうながす作用が知られている。茎葉も同様に薬用にされ,若芽は食用にされることがある。

 茎は細く弱いが,長く伸びまたよく分枝して,逆とげにより他の植物にからまり繁茂する。葉は心形で4枚が輪生状となるが,そのうち2枚は托葉である。夏から秋に多数の円錐状花序を出す。花は小さくて目だたず,放射相称で5数性,蜜を出す花盤がある。ミバエの1種が花冠内に寄生した虫えい花が混在することが多く,それらは全体に大きくずんぐりしていて,花冠は閉じたままである。正常な花の花冠は直径4mmで淡黄色,子房は下位,2室があり,各室に1胚珠をつける。果実は黒く熟し液果で,1個の種子をつけ,球形かときに2個の種子があり,ひょうたん状となる。根はひげ状に多数出て,色素プルプリンpurprinなどを含み橙色だが,空気にふれると暗紫色となる。変異に富む種で,日本から東南アジア,ヒマラヤにかけて広く分布する。ヨーロッパ産のセイヨウアカネムツバアカネR.tinctorum L.(英名common madder)は葉が6枚輪生し,根はアリザリンalizarinを含み,アカネと同じように,染色に用いられた。
執筆者:

アカネの根に含まれる赤色色素を熱水で抽出して得る染色(そめいろ)を茜という。日本在来のアカネは外来のセイヨウアカネがもつアリザリンを含まず,色素成分はその誘導体のプルプリンであり,タンニンも多い。そのような悪い条件下で,茜雲の美しい色を染めるのには高度な技術上の処理を必要とした。茜染の記事は《古事記》上巻の大国主神の歌に〈やまがたに まきし あたねつき そめきがしるに そめころもを まつぶさに とりよそひ……〉とあるのが初見。この〈あたね(阿多泥)〉がアカネと解釈され,出雲の大神がアカネを播種(はしゆ)し,染木の汁の染衣を着ることを歌ったものとされている。〈あかねさす……〉と枕詞に用いられ,《延喜式》にあげられた色相は〈浅緋〉である。茜で下染めをして紫根の染液で交染して〈深緋〉を得ている。茜染は灰汁を媒染剤として用い,タンニンその他の不純物を吸着さすために白米を使って緋色を得る努力をしている。現在では工芸染色に西洋茜が用いられる。
執筆者:

コーヒーキナキニーネの原料),クチナシヤエムグラなどの代表種のほかに,アリ植物やマングローブ植物もある。約500属6000種からなる大きな群で,熱帯に多いが,温帯,まれに寒帯にも分布する。有益なアルカロイドを含むものが多く,黄色,赤色染料や薬用として利用され,観賞用の園芸植物も多い。

 葉は対生し単葉で縁は滑らか,托葉があり,花冠は合弁,子房が下位などの形質により特徴づけられるよくまとまった科であるが,形態的には多様である。日本では草本が多いが,科としてはおもに低木で一部高木となる。葉にバクテリアが共生し窒素固定をするもの(ギョクシンカ属ほか)があり,インドでは乾葉を肥料として使うという。托葉が葉状に発達し輪生状となるものや,対生葉の一方が退化し互生状となるもの(イリオモテソウ属)がある。枝が針状や鉤(かぎ)状に変態することがあり,アリドオシ属のとげは,被子植物の中でも例外的で,托葉に対生する。花は虫媒花で虫を誘引するさまざまな機構があり,美しい花冠をつけるもの,小さい花が多数集合するもの,強い芳香を出すもの,蜜を分泌する花盤が発達したものが多い。まれに開花前に受粉を終える自家受粉をする例も知られている。スイカズラ科と近縁とされていたが,近年マチン科,リンドウ科などとの類縁が考えられている。

 アカネ科には多くの有用植物がある。薬用としてはトコン(アメーバ赤痢の特効薬),ガンビールノキ(阿仙薬),カギカズラ(鉤を収れん剤にする),フタバムグラなどが利用され,染料としてはアカネの根,ヤエヤマアオキ,クチナシの実,チブサノキ(青・紫色染料)が,なめし皮染料や褐色染料としてはガンビールノキが使われる。またハクチョウゲ,アリドオシ,サンタンカブバルジアなどを観賞用として栽培する。熱帯では果実を食用とするものもある。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアカネの言及

【セイヨウアカネ(西洋茜)】より

…根から赤色染料を採るために栽培されるアカネ科の多年草。原産地はヨーロッパから西アジアにかけての地域とされ,地中海沿岸で栽培されていた。つる性の茎は高さ50~80cm,よく枝分れし,短いとげがある。葉は広披針形で長さ3~5cm,茎に対生するが,それぞれに2枚の托葉がつくために6枚の葉が輪生しているように見える。夏から秋に,茎端や葉腋(ようえき)に花穂をつけ,淡黄色の小花が多数咲く。花は先端が5裂し直径5mmほど,おしべは5本である。…

【セイヨウアカネ(西洋茜)】より

…根から赤色染料を採るために栽培されるアカネ科の多年草。原産地はヨーロッパから西アジアにかけての地域とされ,地中海沿岸で栽培されていた。…

※「アカネ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」