ハクチョウゲ(読み)はくちょうげ

改訂新版 世界大百科事典 「ハクチョウゲ」の意味・わかりやすい解説

ハクチョウゲ (白丁花)
Serissa japonica(Thunb.)Thunb.(=S.foetida Comm.)

アカネ科の常緑低木で,中国原産。日本や中国で古くから観賞用に栽培された。和名は花が白く,その形がチョウジに似ることによる。高さ0.5~1m。よく分枝し,刈込みに耐えるので,形を整えて生垣とすることが多い。葉はやや厚く,楕円形で,長さ0.5~3cm。花は5~7月に咲く。下位子房は長さ1mm,2室で各室に一つの胚珠が基生する。花冠は漏斗状で,長さ1cm,白色外側淡紫色をおびる。長花柱花と短花柱花がある。日本では普通,実ができない。繁殖挿木によるが,乾燥地には弱い。葉に斑(ふ)が入る斑入りハクチョウゲ,花冠が二重になる二重咲きハクチョウゲ,花冠裂片が多い八重咲きハクチョウゲなどがある。中国原産のダンチョウゲvar.crassirameaMaxim.)Makinoもまれに栽培される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハクチョウゲ」の意味・わかりやすい解説

ハクチョウゲ
はくちょうげ / 白丁花
[学] Serissa japonica Thunb.

アカネ科(APG分類:アカネ科)の半落葉低木。中国、インドシナ、タイ原産。株立ち状になり、高さ1~1.5メートル。若枝は2列に短毛があり、暗紫色。葉は対生し、長楕円(ちょうだえん)形で長さ1~2.5センチメートル、全縁で両端はとがる。托葉(たくよう)は合生し、3本の刺毛がある。6~7月、葉腋(ようえき)に小さな丁字咲きの白色花を開く。花冠は漏斗(ろうと)状で長さ1.2センチメートル、先端は5裂し、裂片はさらに浅く3裂する。内面に長毛がある。花柱が雄しべより長い花と、短い花とがある。果実はできにくい。名は、白色の丁字花の意味である。関東地方以西で、生け垣庭木として植栽される。とくに土質は選ばず、刈り込み、移植に強い。繁殖は挿木による。品種にフタエザキハクチョウゲ、ヤエハクチョウゲ、花が淡紅色のムラサキハクチョウゲ、葉が白覆輪のフイリハクチョウゲがある。

小林義雄 2021年5月21日]


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