デジタル大辞泉
「ひたひた」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ひた‐ひた
[1] 〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)
① 動作が滞りなく、すみやかであるさまを表わす語。さっさと。
※
平家(13C前)一一「ひたひたと乗ってかけよ、物ども」
※合巻・
偐紫田舎源氏(1829‐42)一〇「ひたひたと打解けず」
② 物が軽くぶつかる音、かるくたたく音などを表わす語。〔名語記(1275)〕
③ 物が密着するさま、また、適合するさまを表わす語。ぴたぴた。
※玉塵抄(1563)二四「わらっつ物がたりしてひたひたとしたしうしたぞ」
※新梅ごよみ(1901)〈永井荷風〉二〇「濡れた桜の花瓣が〈略〉
前掛や袂の上にもひたひたと附着いて居た」
④ 風が物に吹き当たる音や、水が岸・へりなどにうち当たる音、また、そのさまを表わす語。
※
咄本・軽口剽金苗(1747)上「竿をとり、針を川へなげると見へしが、大きなる鯉のかかりて、ひたひたとはねる」
⑤ 水が浸すように、
次第次第に迫ってくるさまを表わす語。
※
太閤記(1625)二「四方之攻口、
人数の手賦、並法制等能に沙汰し、廿八日之朝より、ひたひたと取寄る」
※
家族会議(1935)〈
横光利一〉「立ち込めた霧は窓の傍までひたひたと迫って来た」
[2] 〘形動〙 水が浅くて底に
近く、物がつかるかつからないかの程度であるさま。料理用語としては、水・汁などに
材料がやっとかくれるくらいひたるさまを表わす語。
※中華若木詩抄(1520頃)中「橋と水と、ひたひたにして」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報