とちる(読み)トチル

デジタル大辞泉 「とちる」の意味・読み・例文・類語

とち・る

[動ラ五(四)]
舞台などで、せりふしぐさをまちがえる。「長ぜりふを―・る」
焦ってうろたえる。まごまごする。
「玄吉君は僕の居るのにちょいと―・った風であったが」〈真山南小泉村
やりそこなう。失敗する。「取引で―・る」
[類語]損なう損じる失敗しくじるし損ずるし損なうやり損なう抜かる過つ誤る味噌を付ける不覚を取るつまずくどじを踏むてつを踏む事志ことこころざしと違う仕出かすやらかす

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精選版 日本国語大辞典 「とちる」の意味・読み・例文・類語

とち・る

〘自ラ五(四)〙
① 舞台などでうろたえて拍子を失い、せりふやしぐさをまちがえる。浄瑠璃歌舞伎社会で用いられ、その他分野にも広まった。他動詞的にも用いる。
洒落本・間似合早粋(1769)早粋の辞「誰か絶句してとちった」
② うろたえる。まごまごする。あわてる。とちめく。
※雑俳・神酒の口(1775)「すっこんだ・五歩せん番で句がとちる」
③ やりそこなう。失敗する。他動詞的にも用いる。
※火の鳥(1949‐53)〈伊藤整〉一「トチ心配はなかったが、控え目に内輪に内輪にとした」

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