日本大百科全書(ニッポニカ) 「たたき(料理)」の意味・わかりやすい解説
たたき(料理)
たたき
魚を材料とし、包丁でたたいたものを「たたき」というが、これは2種類に分類できる。その一つ土佐風カツオのたたきは、カツオを三枚におろし、皮付きのまま、藁(わら)、茅(かや)などを燃やして炎をカツオの両面に当てる。皮のついている面は少々焦げる程度に、肉の面は白くなる程度に加熱する。炎を当てたら、まな板に移し、ぬれたふきんをかけて冷ました後、身に塩少々をふり、酢を塗った包丁で軽くたたくと、しまって味がよくなる。刺身につくり、薬味にネギ、ダイコン、ニンニクなどを添える。もう1種のたたきは、小アジ、イワシなどの魚を下ごしらえして、包丁の刃でたたいて細かくし、ネギのみじん切りを加えたものをいう。神奈川県の湘南(しょうなん)海岸の名物であり、そのほかの地方にもみられる。
[多田鉄之助]