土佐(読み)とさ

精選版 日本国語大辞典 「土佐」の意味・読み・例文・類語

とさ【土佐】

[1]
[一] 南海道六か国の一つ。都佐(とさ)・波多(はた)の二国が大化改新で一国となって成立。上代より遠流(おんる)地とされ、鎌倉時代は梶原・三浦氏などが守護。戦国末期は長曾我部氏が、江戸時代は山内氏が支配。明治四年(一八七一)の廃藩置県高知県となる。土州。
※土左(935頃)承平五年一月二九日「むかし、とさといひけるところにすみけるをんな」
[二] 高知県中部の地名土佐湾に注ぐ仁淀川下流の西岸に発達する。カツオ漁が行なわれ、かつおぶしを生産。また、和紙(土佐紙)の代表的産地として知られる。昭和三四年(一九五九)市制。
[三] 高知県の中央部の郡。吉野川の上流域の山間地帯。土左とも書いた。
[2] 〘名〙
① 「とさは(土佐派)」の略。
※浮世草子・浮世栄花一代男(1693)二「土佐(トサ)が書たる枕絵取出し」
② 「とさぶし(土佐節)①」の略。
※大和耕作絵抄(1688‐1704頃)両国涼身「土佐(トサ)が風流のひとふしをかたるもあり」
③ 「とさぶし(土佐節)②」の略。
※雑俳・柳多留‐九(1774)「山十に土佐を遣ふとかつぎいひ」

とさ【土佐】

姓氏の一つ。

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デジタル大辞泉 「土佐」の意味・読み・例文・類語

とさ【土佐】[地名]

旧国名の一。現在の高知県にあたる。土州。
高知県中部の市。仁淀川によどがわ下流西岸に位置する。や柑橘類の栽培、和紙製造が盛ん。また、鰹節かつおぶしの産地。人口2.9万(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「土佐」の意味・わかりやすい解説

土佐[市] (とさ)

高知県中央部の市。1959年市制。人口2万8686(2010)。仁淀川下流部右岸に位置し,その支流波介(はげ)川が中央を東流,北と南は標高300~400m級の山が連なる。南東は土佐湾に面し,浦ノ内湾(〈横浪三里〉とよばれる)を囲む横浪半島の先端部を市域に含む。波介川流域の高岡平野は本流との水位差が小さいため排水が悪く低湿で,イグサ栽培が行われる。周辺の丘陵ではミカン,土佐ブンタンが栽培される。段丘上に位置する中心市街の高岡地区は戦国期の市町に起源し,江戸時代は在郷町で,送番所も置かれていた。また北隣の吾川郡いの町の旧伊野町と並ぶ土佐和紙製造の中心地で,手すき和紙業も残る。浦ノ内湾口に位置する宇佐は古くからのカツオ漁港で,土佐鰹節(土佐節)の発祥地ともいわれ,現在も水産加工業が盛んである。仁淀川河口の新居(にい)では施設園芸が盛んで,キュウリ,スイカなどを栽培する。高岡の北,清滝山中腹に四国八十八ヵ所第35番札所の清滝寺があり,高岡の西方には,戦国期土佐七守護の一人に数えられた大平氏の拠った蓮池城跡がある。横浪半島先端部にある青竜(しようりゆう)寺は八十八ヵ所第36番札所である。市域中央を東西に国道56号線が通じ,浦ノ内湾口に架かる宇佐大橋は横浪半島を縦断する横浪黒潮ライン(1998年無料開放)の東の入口である。高知自動車道インターチェンジがある。
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土佐[町] (とさ)

高知県中央部,土佐郡の町。北端は愛媛県伊予三島市に接する。1970年町制。人口4358(2010)。四国山地の南側にあり,大部分は山地だが,町域北部を南東流する吉野川に注ぐ瀬戸川,地蔵寺川沿いに河岸段丘が発達して耕地が開ける。一帯はかつて森郷と呼ばれ,中世には土豪森氏の本拠地であった。江戸初期,土佐藩執政野中兼山によって用水路の新井(あらゆ)溝が開かれた。地蔵寺川とこれに注ぐ相川川,伊勢川川の流域は良質米の産地として知られる。ほかに酪農,養蚕,施設園芸が行われ,また温暖多雨の気候に恵まれて杉,ヒノキの良材を産する。1973年吉野川に四国最大の多目的ダムの早明浦(さめうら)ダムが完成,ダム上流には湖岸に沿って県道が通じたが,町内では150余世帯が水没した。平石の乳イチョウは天然記念物。
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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「土佐」の解説

とさ【土佐】

かつお節を用いる調味料や料理に冠する言葉。土佐酢・土佐煮などがある。◇土佐(現在の高知県)がかつお節の名産地であることから。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の土佐の言及

【サンゴ(珊瑚)】より

…イシサンゴ類はポリプを取り除いて骨格を置物にするくらいで,装飾品などに加工はできない。
[生態・利用]
 装飾品にされる本サンゴにはアカサンゴCorallium japonicum,モモイロサンゴC.elatius,シロサンゴC.konojoi,ベニサンゴC.rubrumなどがあり,土佐沖,南西諸島から台湾,小笠原諸島,ミッドウェー諸島に分布している。ほとんどのものは水深100~300mの海底に着生しているが,ミッドウェー諸島沖では1979年以来水深1000~1500mの海底から採取されていて,〈ミッド赤ボケ〉とか〈ミッド白〉などの慣用名で呼ばれている。…

※「土佐」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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