龍胆(読み)りんどう

精選版 日本国語大辞典 「龍胆」の意味・読み・例文・類語

りん‐どう ‥ダウ【龍胆】

〘名〙 (「龍胆(りゅうたん)」の字音を「リウタム・リウタウ」と表記してできた語)
リンドウ科の多年草。本州・四国・九州の山野に生える。高さ二〇~六〇センチメートル。葉は対生し披針形で先は尖り、目立つ三条の脈が走る。秋、青紫色で先の五裂した狭鐘形の花を開く。果実は紡錘形。根は龍胆(りゅうたん)と称し、赤褐色で苦味が強く健胃薬に使われる。近縁種に、オヤマリンドウトウヤクリンドウなどがある。漢名、龍胆。ささりんどう。えやみぐさ。にがな。りゅうたん。りゅうどう。《季・秋》
※順集(983頃)「りむだうも名のみなりけり秋の野の 千草の花の香にはおとれり」
② 襲(かさね)の色目(いろめ)の名。表は蘇芳(すおう)で裏は青のもの。秋に用いる。一説に表は黄とも。また、女房の五衣(いつつぎぬ)の重ねの名目。五衣のうち上の三つは薄色を匂わせ、次の二つは青の濃淡、単は紅とするかきつばたをいい、四月に用いる。りゅうたん。〔満佐須計装束抄(1184)〕
③ ①の花のような青紫色。
※宇津保(970‐999頃)国譲中「色紙一かさね覆ひて、りんたうの組して結ひて、八重山吹のつくり花に付けてあり」
文様紋所の名。①の葉や花を図案化したもの。紋所として、笹龍胆、龍胆車、違い龍胆、龍胆菱などがある。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「りんたうの織物の袿」

りゅう‐たん【龍胆】

〘名〙
植物りんどう(龍胆)」の漢名。また、リンドウの根を乾燥したもの。健胃薬とする。
古今(905‐914)物名・四四二「りうたんのはな わが宿のはなふみしだくとりうたん野はなければやここにしもくる〈紀友則〉」
※類従本伊勢集(11C後)上「りうたん 風さむみ鳴雁がねの声すなりうたん衣をまづや貸さまし」

りゅう‐どう ‥ダウ【龍胆】

〘名〙 =りんどう(龍胆)
※御堂関白集(1027頃)「りうだうの露いみじうおきたるに」

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