鹿の子遺跡(読み)かのこいせき

日本歴史地名大系 「鹿の子遺跡」の解説

鹿の子遺跡
かのこいせき

[現在地名]石岡市石岡 鹿の子

国分尼寺の北方約七〇〇メートル、山王さんのう川右岸、標高約二五メートル前後の台地上にある。遺跡の東側は緩やかな傾斜水田に連なっている。昭和五四年度に確認調査が行われ、同五五―五六年度に発掘調査が実施されたが、遺跡を南北に縦断する街道の東側C地区から竪穴住居跡九〇、工房跡(鍛冶跡)一〇基、長屋状竪穴遺構二棟、溝跡二条が発見された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鹿の子遺跡」の意味・わかりやすい解説

鹿の子遺跡
かのこいせき

茨城県石岡市鹿の子、恋瀬(こいせ)川左岸の台地上にある奈良時代から平安時代にかけての大規模な遺跡。常磐(じょうばん)自動車道の建設に伴い、1979年(昭和54)から県教育財団によってその一部の調査が行われ、鍛冶(かじ)工房跡18基、複数のかまどをもつ連房式竪穴(たてあな)遺構5棟などのほか、多くの竪穴住居跡、掘立て柱建物跡が発見された。出土遺物土師器(はじき)、須恵器(すえき)が主で、ほかに鉄製品、銅製品、古瓦(こがわら)、墨書(ぼくしょ)のある土器などがある。とくに注目されるのは、計帳、田畑の広さなどが記載された田籍(でんせき)関係文書、具注暦(ぐちゅうれき)など140点の漆紙文書である。遺跡は官衙(かんが)的ブロックと工房的ブロックに分けられ、常陸(ひたち)国の官営工房と考えられている。

[川井正一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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