富山県北西部の市。2005年11月旧高岡市と福岡(ふくおか)町が合体して成立した。人口17万6061(2010)。
高岡市中東部の旧市で,呉西地方の中心都市。1889年市制。人口16万7685(2005)。市街地は庄川扇状地の末端に突出した高岡台地を中心に発達した。早くから開け,東大寺の荘園であったことが《正倉院文書》に記録されている。小矢部(おやべ)川河口の伏木には越中国府,国分寺が置かれた。江戸初期この地に築城した前田利長が砺波(となみ)郡西部金屋(にしぶかなや)村から招いた7人の鋳物師(いもじ)によって始められた鋳物製造は,高岡が銅器,梵鐘,なべ,かまなど金属製品の製造によって繁栄する基礎となった。一方,伏木港を中心とした地区には第1次大戦前後から近代的な工場が進出した。1968年富山市とともに新産業都市に指定され,86年には伏木富山港が特定重要港湾に指定されて,金属,化学,紙・パルプなど諸工業の立地がみられ,さらに伝統的な金属加工に結びついて,アルミニウム,鉄鋼産業も盛んとなり,県の政治・文化の中心富山市に対して産業・経済の町としての性格をみせている。金属工業のほか,漆器,織物,仏具などの製造も古くから盛んである。伏木富山港は日本海屈指の貿易港で,ロシア船をはじめ多くの外国船が出入りする。市の中心部には高岡城跡の古城公園,加賀藩主の菩提寺である曹洞宗の瑞竜寺が,北部には臨済宗の名刹国泰寺がある。北部にある二上(ふたがみ)山(274m)一帯は観光地として開発されている。JR北陸本線が東西に横切り,高岡駅からはJR氷見線,JR城端線が分岐する。
執筆者:藤森 勉
1609年(慶長14)前田利長は富山大火で富山城が焼失したので,庄川扇状地の末端に孤立する洪積台地の関野を高岡と命名して築城し,ここに北陸街道を通し城下町をつくって移った。随臣は570人で,高台に居住し,侍屋敷をつくった。城下町は新往来を基準に碁盤目状に町割りし,職種によって居住指定をした。開町当時の町家は630軒で,本町35町を形成した。14年に利長が死去,高岡城は廃城となり,家臣団は金沢に引きあげた。その跡地に地子町22町ができた。その後の人口増加に伴い近在11ヵ村に町域が拡大し,請地町ができていった。高岡町は砺波郡・射水(いみず)郡の中心で,陸路は金沢,富山をはじめ飛驒国にも通じており,駅馬47疋を置いた。また庄川,小矢部川を通じ砺波郡の各地と結ばれ,開町以来,木町の舟方に両川の舟運権が与えられた。35年(寛永12)に布判押人が置かれ布織物の集散地となり,71年(寛文11)には綿場がつくられた。また,1637年に塩蔵がつくられ,ついで塩問屋が置かれ,57年(明暦3)に越中国の各浦を支配する魚問屋が置かれた。
高岡には早くから年貢収納蔵が置かれ,藩士の知行米を取り扱う米場があり,米穀取引が盛んであったが,金沢米場をしのぐほどになったため1824年(文政7)に米場が差し止められた。以後,米場に代わって綿場の独占市場を許可され,織物の中心地となった。町政は町奉行の下に町年寄,町算用聞,町肝煎と各町ごとの町頭が担当した。人口は1699年(元禄12)には1万3085人,1771年(明和8)には1万5582人,1868年(明治1)には2万2298人を数えた。
執筆者:高瀬 保
高岡市西部の旧町。旧西砺波郡所属。人口1万3544(2005)。小矢部川中流に位置し,東部は砺波平野の北西端にあたり,西部は宝達(ほうだつ)丘陵に含まれる。国道8号線,JR北陸本線が並んで町域南部を横断する。中心集落の福岡は近世初期以来,富山に通じる北陸街道の市場町として栄えた。小矢部川流域では江戸時代から菅笠がつくられ,昭和20年代まで全国的産地となっていた。近年はスゲ製の民芸品をつくる。米作のほか,豊富な湧水を利用した養鯉業も盛ん。小矢部川南岸には非鉄金属製品などの工場が立地する。野菜,果物,草花などで供物を作って五穀豊穣を感謝する〈つくりもの祭〉が行われる。
執筆者:千葉 立也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…《延喜式》に上国とあるが,上国と定められたのは804年(延暦23)で,それ以前はすでに上国なみの官制を適用されてはいたが,等級としては中国であったらしい。国府は射水郡,現在の高岡市伏木古国府の地に所在した。小矢部川の河口左岸段丘上に位置し,付近には国分寺跡も存在する。…
…第1次大戦を契機として出発した近代工業は,豊富・低廉な電力と工業用水,伏木(ふしき)港や富山港の港湾施設,豊富な労働力,工業用地などに恵まれたため,冬季の積雪や首都圏,中京圏,近畿圏からほぼ等距離にあって大消費地から遠いという不利な条件を克服して発展した。近代工業のうち,鉄鋼(合金鉄),化学,機械,紙・パルプなどの重化学工業部門は,伏木・富山両港の背後地に展開して高岡北部工業地域および富山北部工業地域を形成し,繊維工業を中心とする軽工業部門は小矢部市,砺波市などに立地して内陸工業地域を形成していった。さらに新湊市の放生津(ほうじようづ)潟を利用した掘込み式人工港湾で日本海側有数の規模を誇る富山新港が完成(1968)し,既存の伏木港,富山港(旧,東岩瀬港)と合わせ伏木富山港として重要港湾に指定された。…
…《信枚君一代之自記》によれば,1628年(寛永5)8月20日から弘前と称したという。それ以前は高岡,鷹ヶ岡,古くは二ッ石と呼んだ。町屋の建設は,1603年(慶長8)に藩祖津軽為信の命によって行われ,移住者には扶持を支給した。…
※「高岡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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