デジタル大辞泉
「騙」の意味・読み・例文・類語
へん【騙】[漢字項目]
[音]ヘン(呉)(漢) [訓]だます かたる
だます。「騙詐・騙取」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
だま・す【騙】
〘他サ五(四)〙 (「だまる(騙)」の他
動詞化か)
① 悪意にもとづいて
うそをいったり、にせ物を使ったりして、本当でないことを本当だと思わせる。あざむく。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)八「令二寄紿一レ祿とは、だまさせたことぞ」
※俳諧・鷹筑波(1638)四「人をただだます心やまめ男 ねやすく馬をかふて飼けり〈秀海〉」
※
洒落本・通気粋語伝(1789)五「
らんすいしての、らうぜきゆへ、〈略〉やうやうだましてつれかへりける」
③ (「だましだまし」の形で) 手加減しながら少しずつ事をする。
※雑俳・柳多留‐一四五(1837)「わるひ道車をだましだまし引き」
[
補注]
室町時代に「だます」が現われる前は「いつはる」「あざむく」が用いられていた。
だまし【騙】
① だますこと。あざむくこと。いつわること。
計略。たくみ。〔羅葡日辞書(1595)〕
※
浄瑠璃・丹波与作待夜の
小室節(1707頃)上「皆のだましじゃ、なんの東がよい所」
② だます者。かたり。
③ 鹿児島県地方の山で働く人たちが狐(きつね)をさしていう語。
だま・る【騙】
〘自ラ四〙 人をあざむこうとする
気持をもつ。
悪心をいだく。〔羅葡日辞書(1595)〕
※虎明本狂言・
附子(室町末‐近世初)「わざをする物はだますと云程に、だまってゐるかと云」
[補注]
無言の
状態になる意の「だまる(黙)」と直接関係があると考えられる。
弁舌をふるうなど積極的に働きかけて欺く「だます」に対して、「だまる」は「真実や
真意を隠して表に出さないでいる」という意味合いであり、積極的な
発言をしないところから
沈黙の意と結びつく。
だまくらか・す【騙】
※浄瑠璃・男作五雁金(1742)阿波座堀紺屋「備前者を欺
(ダマク)らかし、
すりをかはくか」
※
司令の
休暇(1970)〈
阿部昭〉一「騒ぎたてる心をだまくらかしてはろくにおやじの顔も見に行かなかった」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報