駿河国新風土記(読み)するがのくにしんふどき

日本歴史地名大系 「駿河国新風土記」の解説

駿河国新風土記
するがのくにしんふどき

二五巻 新庄道雄

別称 駿河新風土記

成立 天保五年

写本 国立公文書館内閣文庫(二五冊)ほか

解説 駿河国の地誌。二五巻の構成は提要五巻・国府三巻・有渡郡五巻・安倍郡五巻・廬原郡二巻・益津郡二巻、付録として富士山二巻と郡名考一巻からなる。提要では開闢・区域・道・郡・郷庄・御厨・風土・天文などの項目について考察を加えている。国府以下の巻では駿府の町および各郡下の村々の寺社産物・道・川・橋・伝説・古文書などをまとめる。文化九年駿府町奉行の服部貞勝が「駿河国地誌」の編纂を企画、在野の好学の士に分担地域を割当てて調査・執筆させることとした。新庄道雄は安倍郡を担当したが、同年発起者の服部が松前奉行に転出したため、企画は実現しなかった。新庄道雄は文化一三年に国府上巻・下巻を完成させ、以後天保五年の廬原郡までを執筆したが、同六年病没。この間、一巻を執筆するごとに江戸に出て、平田篤胤や本居大平らの批評を得た。道雄の死によって志太・富士・駿東の三郡は執筆されずに終わった。しかし志太・富士両郡は新宮(中村)高平が「駿河史料」編纂のための資料として収集していた桑原黙斎の調査草稿を、駿東郡は贄川良以の調査結果に加筆整理して作られた「駿東郡志」から補って「修訂駿河国新風土記」として刊行された。修訂は足立鍬太郎、補訂飯塚伝太郎。

活字本 「修訂駿河国新風土記」(昭和八年―九年、昭和五〇年復刊)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android