駆・駈(読み)かる

精選版 日本国語大辞典 「駆・駈」の意味・読み・例文・類語

か・る【駆・駈】

〘他ラ五(四)〙
① 追い払う。追い立てる。追い回す。
※大唐西域記長寛元年点(1163)五「律儀無紀穢徳已に彰はれぬるをば躯(カリ)て国の境に出し」
② 走らせる。馬、車などに乗って駆けさせる。急がせる。
※日本一鑑窮河話海(1565‐66頃)五「駆 法自(ハス)佳路(カル)
読本椿説弓張月(1807‐11)拾遺「北より南にうち向ひ、長く駆(カッ)て首里を攻給はば」
③ 無理にやらせる。催促してやらせる。わざわざやらせる。
書紀(720)敏達一二年是歳(前田本訓)「此は是れ、我が駈(カリ)使(つか)ふ奴(やつこ)等が為(せ)る所なり」
④ 人をある強い感情に陥れる。また、ある強い感情が迫る。→駆られる
神経病時代(1917)〈広津和郎〉七「この紙面を埋めなければならないと云ふ心配が定吉を駆って」

か・ける【駆・駈】

〘自カ下一〙 か・く 〘自カ下二〙
① 馬に乗って走る。また、人や動物が速く走る。現代では、単に走るの意や、急いで行くの意で用いる。
※為忠集(鎌倉中か)「ぬしもなき夏のの原のはなれ駒こころの儘にかけつ戻りつ」
日葡辞書(1603‐04)「ミチヲ caquru(カクル)〈訳〉道を歩く。〈略〉ノヤマヲ caquru(カクル)〈訳〉山や野を走ったり歩いたりする」
② 攻め進む。敵に向かって進む。進撃する。
保元(1220頃か)中「爰(ここ)大将軍の懸けさせ給ふ所にて候はず」
[語誌]鳥などが空高く飛ぶことを表わす四段動詞「かける(翔)」が、中世になって下二段化したもので、以後これが広く用いられるようになった。

か・く【駆・駈】

〘自カ下二〙 ⇒かける(駆)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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