拾遺(読み)しゅうい

精選版 日本国語大辞典 「拾遺」の意味・読み・例文・類語

しゅう‐い シフヰ【拾遺】

[1] 〘名〙
① (━する) 洩れているものを拾い補うこと。特に、ある書物に収録しそこなった作品・話などを拾い集めること。また、そのもの。拾遺補闕
拾遺愚草(1216‐33頃)上「先撰二百首之愚歌、有結番事、仍可拾遺
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)五「当年膝栗毛五篇目宮廻りまで〈略〉猶亦拾遺(シウヰ)に大和巡り大坂京都見物」 〔史記‐太史公自序〕
君主を輔(たす)けて、その過失を補うこと。また、古く中国で、君主の過失をいさめる官。元以後廃止。拾遺補闕。〔史記‐汲黯伝〕
③ (「じゅうい」とも) 侍従(じじゅう)唐名
※菅家文草(900頃)五・春惜桜花「何因苦惜花零落、為是微臣身職拾遺
※宇治拾遺(1221頃)序「侍従を拾遺といへば、宇治拾遺物がたりといへるにや」
④ 薫物(たきもの)の名。沈香、丁子香、甲香、甘松香、熟鬱金香、占唐香などをねりあわせて作る。拾遺補闕。〔類聚雑要抄室町)〕
※栄花(1028‐92頃)初花古今・後撰・拾遺など五巻に作りつつ」

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デジタル大辞泉 「拾遺」の意味・読み・例文・類語

しゅう‐い〔シフヰ〕【拾遺】


漏れ落ちたものをひろって補うこと。また、そうしてつくったもの。
《「じゅうい」とも》侍従唐名
中国で、君主を助けて、その過失をいさめ補うこと。また、その官。拾遺補闕ほけつ
拾遺和歌集」の略称
[類語]充てる充当する充塡する当てはめる引き当てる補塡補給塡補穴埋め増補補遺補う追加付加補足補充カバー加味補完相補補訂補綴ほてい

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普及版 字通 「拾遺」の読み・字形・画数・意味

【拾遺】しゆうい(しふゐ)

おとしもの、忘れものをひろう。〔子、正論風俗の美、男女(みち)(途)に取(めと)(娶)らず、百姓(わす)れたるを拾ふを羞(は)づ。

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世界大百科事典(旧版)内の拾遺の言及

【侍従】より

…相当位は従五位下。その職掌は〈常侍,規諫(きかん),拾遺補闕(ほけつ)〉,すなわちつねに天皇に近侍し,諫(いさ)めただし,遺(わす)れたるを拾い,闕(か)けたるを補うことにあった。侍従の別名を拾遺ともいう。…

※「拾遺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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