香炉峰の雪は簾を撥げて看る(読み)こうろほうのゆきはすだれをかかげてみる

故事成語を知る辞典 の解説

香炉峰の雪は簾を撥げて看る

女性が機知に富んでいることのたとえ。

[使用例] 浪子は幼きよりいたって人なつこく、しかもこうに、香炉峰の雪に簾を巻くほどならずとも、三つのころよりうばに抱かれて見送る玄関にわれから帽をとって阿爺ちちの頭に載すほどの気はききたり[徳冨蘆花*不如帰|1898~99]

[由来] 八~九世紀、唐王朝の時代の中国の詩人はくきょ(雅号は楽天)の詩の一節政争に巻き込まれて現在の江西省きゅうこう市に左遷された白居易は、そこでの自然に囲まれて落ち着いた暮らしを、「香炉峰の雪は簾を撥げて看る(近くにそびえる香炉峰という山の雪景色を、寝室でくつろぎながら、すだれを高くはね上げて見る)」とうたいました。「枕草子―二九九」には、御所に雪が積もった日に、清少納言が中宮定子から「香炉峰の雪いかならん」と問われて、御簾を高く上げてその詩句にならったという話があり、清少納言の機知を伝えるものとして知られています。

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