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香を入れる蓋付きの器。献香,聞香,茶の湯の三つの場合に分けられるが,本来香炉に添っていたものである。香合のもっとも早い例は正倉院に伝来する塔鋺といわれ,その後中国製の堆朱,存星など漆物を中心に大小の合子(ごうす)が使われている。日本の漆物としては鎌倉彫や蒔絵がある。茶の湯の香合の場合は,大別すると漆物と陶磁器で,ほかに木地物,金属,貝などが用いられ,献香用,聞香用に比べると種類が多く,造形的にも変化にとんでいる。漆物には中国製と日本製があり,陶磁器としては中国製の交趾(こうち),染付,祥瑞(しよんずい),赤絵など,日本製は志野,織部のほか,桃山から江戸時代にかけて日本各地の窯で焼かれ,また素人の手造りのものもある。
執筆者:赤沼 多佳
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