合子(読み)ごうす

精選版 日本国語大辞典 「合子」の意味・読み・例文・類語

ごう‐す ガフ‥【合子】

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デジタル大辞泉 「合子」の意味・読み・例文・類語

ごう‐し〔ガフ‐〕【合子/×盒子】

《身とふたとが合う物の意》ふた付きの小さい容器。香合化粧品入れなどに用いた。合器ごき。ごうす。

ごう‐す〔ガフ‐〕【合子】

ごうし(合子)

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改訂新版 世界大百科事典 「合子」の意味・わかりやすい解説

合子 (ごうす)

身と蓋とからなる小型の容器。古墳時代には近畿とその隣接地域で碧玉または滑石で作った石製合子を使用した。平面が円形で,径5cmほどの有脚の碧玉製合子が4世紀にあらわれ,平面が楕円形で,長径10cm以上の平底無脚の滑石製合子は5世紀にくだる。ともに蓋は甲高に作るが,鈕(つまみ)はつけていない。木製品を祖形とするものであろうが,なにを入れるものかはわからない。岡山市金蔵山(かなくらやま)古墳出土の長径40cmほどの埴製(はにせい)合子には各種の鉄製工具を入れてあった。

 蓋に鈕のついた合子は6世紀以降に朝鮮から伝来した。慶州壺杅塚(こうづか)出土の壺杅は鋳銅の合子で5世紀の製作であるが,新羅には銀や金銅鍛造の合子もある。百済の武寧王陵出土の銀製合子は径8.1cm,高台付きで鋳造である。法隆寺五重塔の舎利容器を納めた宝珠鈕金銅合子は径11.3cm,高台付きで鋳造後に轆轤(ろくろ)でひいて仕上げてある。正倉院宝物には黄銅(おうどう),赤銅(しやくどう),金銅などの相輪形鈕をつけた合子があって,密教仏具として精緻な技巧を示している。正倉院にはまた《東大寺献物帳》に碁子を納めたと記す木胎の銀平脱(ぎんへいだつ)合子や,寒水石を納めた檜薬(ひのきくすり)合子など,蓋に鈕をつけぬ合子もある。その一つで琴や琵琶の絃を納めた合子は銀平脱梳箱(くしげ)とよんでいる。したがって,大物主神が小蛇の姿ではいっていたと《日本書紀》崇神天皇条にいう櫛笥(くしげ)も,合子の一種であったにちがいない。
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百科事典マイペディア 「合子」の意味・わかりやすい解説

合子【ごうす】

ごうし〉とも。香合など,蓋(ふた)のある小容器。金属器,漆器陶磁器などがある。
→関連項目壺【う】塚

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普及版 字通 「合子」の読み・字形・画数・意味

【合子】ごうし

ふた物。

字通「合」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の合子の言及

【石製合子】より

…蓋のある石製容器の一種(合子)。エジプト先王朝時代や中国の殷代などにもあるが,日本では古墳時代の副葬品として出土する。…

※「合子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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