顧・省(読み)かえりみる

精選版 日本国語大辞典 「顧・省」の意味・読み・例文・類語

かえり‐・みる かへり‥【顧・省】

〘他マ上一〙
① たち帰って、見る。もどって見る。
万葉(8C後)二・一四一「磐代の浜松が枝を引き結びま幸(さき)くあらばまた還見(かへりみ)む」
後方をふりかえる。ふりかえって、見る。
※万葉(8C後)九・一七三三「思ひつつ来れど来かねて水尾(みを)の崎真長(まなが)の浦をまた顧(かへりみ)つ」
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「ちかづく者あらば射ころさむと、頻にあとをかへりみて」
③ 過去を回想する。
※漢書楊雄伝天暦二年点(948)「四荒を覧て顧(カヘリミ)(おもふ)
④ わが身を反省する。
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)七「躬を撫でて自ら省(カヘリ)み」
※正法眼蔵(1231‐53)弁道話「佗をもてわれをかへりみ」
⑤ 心にかける。考慮する。懸念する。
書紀(720)舒明即位前(北野本訓)「独り、嗣の位を定めむと欲。顧(カヘリミ)群臣の従はざらむことを畏る」
※万葉(8C後)一〇・二〇一九「古(いにしへ)ゆあげてし機(はた)も顧(かへりみ)ず天(あま)河津(かはづ)に年ぞ経にける」
⑥ 世話をする。
大和(947‐957頃)三二「しぐれのみふる山里の木のしたはをる人からやもりすぎぬらむ、とありければ、かへりみたまはぬ心ばへなりけり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android