電気治療(読み)でんきちりょう

精選版 日本国語大辞典 「電気治療」の意味・読み・例文・類語

でんき‐ちりょう ‥チレウ【電気治療】

〘名〙 病気治療電気を用いる療法電気療法電撃療法
読売新聞‐明治一五年(1882)一一月二八日「電気治療と唱へ、〈略〉一回三銭にて治療し」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電気治療」の意味・わかりやすい解説

電気治療
でんきちりょう

電気的エネルギーを生体に加えて、疾病を治療する方法をいう。電流を生体に流す場合、人体の皮膚に接する電流の出入部を導子という。このうち、治療を目的とする導子を関導子または治療導子、電流を流すのに必要なもう一つの導子を不関導子と称している。一般に不関導子は関導子の数倍の大きさのものが用いられる。また、皮膚の電気抵抗を少なくし、かつ通電密度を平均化するため、導子となる金属部分と皮膚との間には電流の流れやすい水が介される。この場合、直接水を用いることもある(電気四(し)槽浴)が、通常は食塩水あるいは水道水などで湿潤にしたガーゼや綿などが用いられる(低周波治療器)。低周波治療器のなかには、鍼(はり)を電極として身体内に挿入して治療鍼とすることもある。また、電界を用いる場合には絶縁物でよいため、金属導子の周りをゴムなどで絶縁したものが用いられる(高周波治療器)。なお、なかには電球のように照射するものもある(極超短波治療器)。

 電気治療に用いられる電気エネルギーを周波数のうえからみると、平流、低周波、短波、超短波、極超短波の順に多くなる。平流は血液循環促進やイオン導入の目的で用いられ、低周波は刺激あるいは鎮痛の目的で用いられる。短波以上の周波数帯は、いわゆる高周波療法であり、その温熱作用が利用される。平流や低周波治療は陽極陰極の区別のある直流が多く用いられるが、最近は、二相性の交流も用いられる。通電しうる電流の限界は一般に1平方センチメートル当り0.5~1.0ミリアンペアを限度とする。したがって、大きい電流を通電したいときは、当然大きい導子を用いなければならない。治療に用いられる電流は日本では数ミリアンペアから多くても20ミリアンペアくらいまでで、鍼電極ではマイクロアンペアの単位となる。

[玉川鐵雄]

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