陸蒸気(読み)オカジョウキ

デジタル大辞泉 「陸蒸気」の意味・読み・例文・類語

おか‐じょうき〔をか‐〕【陸蒸気】

汽車のこと。明治初期の語で、蒸気船に対し、陸を走るところからの称。

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精選版 日本国語大辞典 「陸蒸気」の意味・読み・例文・類語

おか‐じょうき をか‥【陸蒸気】

〘名〙 (汽船を蒸気船といったのに対して陸を走るところから) 明治初期の蒸気機関車の俗称。
歌舞伎繰返開花婦見月三人片輪)(1874)三幕「もしや二人が陸蒸汽(オカジョウキ)横浜へでも走りはせぬか」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「陸蒸気」の意味・わかりやすい解説

陸蒸気
おかじょうき

明治初期の汽車の俗称。日本の鉄道は1872年(明治5)5月、品川―横浜間の仮営業でスタートしたが、当時の流行歌やかるたには「陸蒸汽」(73年、開化大津ゑぶし)、「矢を射る如(ごと)くに岡蒸気」(74年、東京繁栄鞠唄(まりうた))、「繁昌(はんじょう)はほかに無類のおか蒸気」(75年、幼童教訓いろは加留多(かるた))、「見る間に馳(かけ)出す陸蒸気」(78年、開明手まり歌)などとあり、当時の人たちにとって陸蒸気は、海の蒸気船の対語として官庁用語の汽車よりもぴったりする表現だったらしい。なお、72年10月新橋―横浜間約29キロメートルが開通乗合馬車なら4時間かかる距離を1時間で走った。料金は上等1円12銭5厘、中等75銭、下等37銭5厘。上等は白米が30キログラム以上も買える額だった。

[森脇逸男]


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