錆・銹・鏽・寂・荒(読み)さびる

精選版 日本国語大辞典 「錆・銹・鏽・寂・荒」の意味・読み・例文・類語

さ・びる【錆・銹・鏽・寂・荒】

〘自バ上一〙 さ・ぶ 〘自バ上二〙
[一]
金属の表面に錆を生ずる。錆がつく。
※小大君集(1005頃)「研(と)ぎおきし鞘(さや)の刀もさびぬらん刺さで久しき程ぞなりぬる」
② 水渋(みしぶ)がつく。水あかがつく。また、水渋が溜って水面茶褐色に変色する。
神楽歌(9C後)採物「〈末〉我が門の板井の清水里遠み人し汲まねば水佐比(サビ)にけり水佐比(サビ)にけり」
③ 声が低く太い。声に渋味がある。
※魔風恋風(1903)〈小杉天外〉前「『お兼、何だいっ』と荒(サビ)た女の声が起った」
[二]
① (寂) 古びて趣がある。老熟して味わいを生じる。閑寂味がある。
※書陵部本嘉応二年住吉社歌合(1170)「住吉の松吹く風の音さえてうらさびしくもすめる月かな〈平経盛〉〈略〉左歌、姿ことばいひしりて、さびてこそみえ侍れ」
② けちである。
※浮世草子・新吉原常々草(1689)上「田舎者は是はつゐあがりてさびたるさはぎしてかへりけると也」
[三]
① 心が満ち足りないでいる。さびしく思う。
万葉(8C後)四・五七二「まそ鏡見飽かぬ君に後(おく)れてや朝夕(あしたゆふへ)左備(サビ)つつ居らむ」
人気(ひとけ)がなくて荒れる。にぎやかでなくなる。
伊勢大輔集(11C中)「塵積るこその枕もさびにけり恋する人の寐る夜なければ」
③ いきおいが衰える。衰微する。古びゆく。また、おちぶれる。零落する。色などがあせる。
玉葉(1312)秋下・八一二「夕づく日色さびまさる草の下にあるとしもなく弱る虫の音〈覚円〉」
浄瑠璃一谷嫩軍記(1751)四「身は角助のさびた形(なり)

さ・ぶ【錆・銹・鏽・寂・荒】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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