化学辞典 第2版 「金酸(塩)」の解説
金酸(塩)
キンサン
auric acid(aurate)
HAuO2・H2O(247.99).水酸化金(Ⅲ)AuⅢ (OH)3は両性であるが,むしろ酸性のほうが強いため,金酸の俗称がある.Na[AuCl4]・2H2Oの水溶液に水酸化アルカリを加えると得られる.水にほとんど不溶の黄赤色の粉末である.濃酸や熱アルカリ水溶液に可溶.空中に固体を放置すると,室温では徐々に,100 ℃ ではすみやかに水を失い,AuO(OH),さらにAu2O3にかわる.
金酸塩は酸化金(Ⅲ)または水酸化金(Ⅲ)を水酸化アルカリ溶液に溶かすと得られる.アルカリ金属塩の水和物MⅠ AuⅢ O2・2H2Oは,形式上金酸であるが,実際はテトラヒドロキソ金(Ⅲ)酸塩MⅠ[AuⅢ (OH)4]である.たとえば,NaAuO2・2H2OはNa[Au(OH)4],KAuO2・3H2OはK[Au(OH)4]・H2Oなどである.AuⅠの水酸化物も AuⅠ塩と水酸化アルカリとの反応で得られ,両性であるが,不安定で純粋なものは単離できない.[別用語参照]テトラヒドロキソ金(Ⅲ)酸塩
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報