金羊毛皮(グリルパルツァーの戯曲)(読み)きんようもうひ(英語表記)Das goldne Vlies

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

金羊毛皮(グリルパルツァーの戯曲)
きんようもうひ
Das goldne Vlies

オーストリアの劇作家グリルパルツァーの戯曲ギリシア伝説に題材をとり、『客人』『アルゴーの人々』『メデイア』の3部よりなる。1821年ウィーンで初演、22年刊。ギリシアの英雄ヤーゾンは金羊毛皮奪還のためコルヒスに渡る。王と王子殺害し、金羊毛皮を手にして、王女メデイアとともに帰国するが、野蛮人を妻としたため王にいれられず、彼の心は、かつての許婚者クレウーザに移る。異国風習になじみ、夫の心をつなぎとめようとする努力も報われず、子供たちにも背かれるメデイアは夫と子供の殺害にまで追い詰められる。近年上演されるのは『メデイア』のみ。

[佐藤自郎]

『相良守峯訳『金羊皮』(1926・岩波書店)』

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