酒まんじゅう(読み)さかまんじゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「酒まんじゅう」の意味・わかりやすい解説

酒まんじゅう
さかまんじゅう

甘酒のしぼり汁を小麦粉に混ぜ、ねかせて発酵させてから、餡(あん)をくるんで蒸し上げたまんじゅう。1242年(仁治3)に宋(そう)留学から帰国した円爾(えんに)(聖一(しょういち)国師)が、仕法を伝えたといわれる。その後、1461年(寛正2)に駿河屋(するがや)の初代善右衛門(ぜんえもん)が、山城(やましろ)国伏見(ふしみ)舟戸の庄(しょう)(京都府)に饅頭(まんじゅう)処の看板を掲げ、本の字の焼き印を押した酒まんじゅうを商った。虎屋(とらや)のまんじゅうは、よりふっくらした酒まんじゅうで、1635年(寛永12)虎屋中興の祖黒川円仲(えんちゅう)が、御所に献上してから高名になった。そのほか素朴な酒まんじゅうには、北関東の飯能(はんのう)(埼玉県)、前橋沼田(群馬県)に伝わる餡なしの焼きまんじゅう(みそをつける)や、皮に麹(こうじ)みそを混ぜて発酵させる白石(しろいし)(宮城県)の足軽まんじゅうがある。

[沢 史生

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世界大百科事典(旧版)内の酒まんじゅうの言及

【まんじゅう(饅頭)】より

…たいへんな人気で,贈答用に杉原紙に刷ったまんじゅう切手もおびただしく売れ,天保(1830‐44)末年ころ経営が悪化した時期には市内いたるところに〈とら屋切手あり〉のはり札が見られたという。江戸時代にはいろいろなまんじゅうがつくられたが,主流は小麦粉を甘酒で練って発酵させた皮を用いるもの,つまり酒(さか)まんじゅうと呼ぶ類であった。またしんこ(糝粉)にヤマノイモを加えて皮にする薯蕷(しよよ)まんじゅう,その皮にそば粉を加えたそばまんじゅうもあった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」