郡村誌(読み)ぐんそんし

日本歴史地名大系 「郡村誌」の解説

郡村誌
ぐんそんし

三六冊

成立 明治一一―一八年

写本 徳島県立図書館所蔵呉郷文庫ほか

解説 明治政府が作成を図った皇国地誌うち各府県に提出させた郡誌・村誌をいう。ほぼ明治九年に調査されたもので、疆域・沿革・里程・四隣距離・地勢・地味・税地・字地・貢租戸数・人数・牛馬・舟・川・用水・道路・神社・寺院古跡物産民業などが記され、明治初年の各地の状況を伝える基礎的な史料となっている。徳島県分は現在徳島県立図書館に呉郷文庫本として残っているものが、阿波国郡誌一冊・名東郡村誌三冊・板野郡村誌一三冊・勝浦郡村誌三冊・那賀郡村誌三冊・海部郡村誌七冊・三好郡村誌五冊あり、呉郷文庫本ではないが麻植郡村誌が一冊残されている。このほかに阿南市那賀川町のように市町村役場などに県へ提出した村誌の控が公文書として残されているものがあり、各市町村史のなかには県立図書館に残されている村誌以外にも明治九年の調査として村誌から数字等を挙げていると思われるものも少なくない。今後の調査が待たれる。

活字本 「阿波国三好郡村誌」・「阿波国那賀郡村誌」(阿南市分)

郡村誌
ぐんそんし

四六冊

成立 明治一四―一七年

原本 県立図書館

解説 明治八年六月の皇国地誌編輯例則によって編集されたもの。熊本県では早速同年に起稿されたが、西南戦争のため完成が遅れたところもあった。同一八年郡誌・村誌の編集は打切られたが、それまでに完成したものの草稿本・浄書本である。その内訳は、熊本区一冊・飽田郡六冊・託麻郡三冊・玉名郡七冊・山本郡二冊・山鹿郡三冊・菊池郡二冊・合志郡四冊・阿蘇郡一冊・上益城郡五冊・下益城郡七冊・宇土郡三冊・球磨郡二冊。

活字本肥後国玉名郡村誌(玉名郡関係)、「肥後国郡村誌抄上巻(熊本区・飽田郡・託麻郡・山鹿郡関係)・中巻(山本郡・菊池郡・上益城郡関係)、「肥後国宇土郡村誌抄(宇土郡関係)、「肥後国求麻郡村誌(球磨郡関係)、「城南町史」(下益城郡城南町関係)

郡村誌
ぐんそんし

写本 柳川古文書館

解説 山門郡の郡村誌の稿本類。三潴県では明治六年から山田興孝が地誌編集事業に携わり、新福岡県が設置されてからは同一〇年に山田および児玉七郎が第三調所(山門郡)地誌編集の依頼を受け、翌一一年に編集作業を終了した。こうした理由から山田家文書には郡村誌の稿本類が多く残される。第三調所は一一の扱所に分れていたが、同文書には第一から第五、第八・第九の七つの扱所のものが現存している。郡誌は「山門郡誌」があり、浄書に近いものと考えられる。

活字本 「柳川市史」史料編I

郡村誌
ぐんそんし

原本 県立長崎図書館

解説 明治一〇年代に県域諸村の村勢を調査・記録したもの。庶務課史誌掛事務簿と題するが、いわゆる皇国地誌のうち。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報