遣付(読み)やりつける

精選版 日本国語大辞典 「遣付」の意味・読み・例文・類語

やり‐つ・ける【遣付】

〘他カ下一〙 やりつ・く 〘他カ下二〙
① ある動作をいつもしなれている。しつける。また、ある物を与えることが慣例になっている。
※虎寛本狂言・米市(室町末‐近世初)「毎年遣り付た事じゃに依って、今とふて遣らう」
② 「飲む」「食う」また「する」を強めていう語。やっつける。
※歌舞伎・七月二八曙(1773)中「是も与兵衛からかねをせしめるつもりで何(なに)もかも大概やり付た所で」
③ やりこめる。うちまかす。やっつける。
浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)八「随分と血を見ぬ様に立廻るが発明と、弁に任してやり付れば」
④ とにかくやってしまう。思い切ってやる。
骨董(1926)〈幸田露伴〉「此男がまた真剣白刃取りを奉書の紙一枚で遣付(ヤリツ)けようといふ男だったから」

やっ‐つ・ける【遣付】

〘他カ下一〙 (「やりつける(遣付)」の変化した語)
① 「する」の意を強めたり、ののしったりしていう語。思い切ってやる。荒っぽくやる。決行する。また、しおおせる。
※浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)四「一向に此法印は始終夢中でやっ付たと」
里芋の芽と不動の目(1910)〈森鴎外〉「そこへ胡座を掻いて里芋の選分を遣っ附けた」
② 「飲む」「食う」の意を強めたり、ののしったりしていう語。
洒落本・当世穴知鳥(1777)廓中の諸訳「爰で一盃やっつけふ」
相手をひどい目にあわせる。また、負かしたり、殺したりする。
※洒落本・太平楽記文(1784)「ちっとづつやっつけておくと、ばかにしゑゑねへのふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android