追立(読み)おいたてる

精選版 日本国語大辞典 「追立」の意味・読み・例文・類語

おい‐た・てる おひ‥【追立】

〘他タ下一〙 おひた・つ 〘他タ下二〙
① 今いる場所から強制的に立ち退かせようとする。追い出そうとする。立ち退きを迫る。追い払おうとする。おったてる。
※栄花(1028‐92頃)若ばえ「かやうの例ならぬこと候へば、まづおひたてさせ給ふに、いと軽々(きゃうぎゃう)候ふや」
② ぐずぐず行く者を後ろからせきたてて早く行かせる。おったてる。
※宇治拾遺(1221頃)三「大なる鬼、二人きたりて、我をとらへて、をひたてて、ひろき野を行くに」
③ せきたてるようにして、物事をさせる。
浮世草子西鶴置土産(1693)一「扨ももろき身躰(しんだい)取集めて弐百貫、やりての粂がおひ立てける」

おっ‐た・てる【追立】

〘他タ下一〙 おった・つ 〘他タ下二〙 (「おいたてる」の変化した語)
① せき立てて行かせる。また、隠れている動物などをおどして姿を現わすようにさせる。
平家(13C前)一「鷹どもあまたすゑさせ、鶉(うづら)雲雀(ひばり)をおたておたて、終日(ひねもすに)かり暮し」
② 追ってその場から去らせる。追いはらう。
謡曲求塚(1384頃)「光は飛魄(ひばく)の鬼となって、笞(しもと)を振り上げ追っ立つれば」

おっ‐たて【追立】

〘名〙 (「おいたて(追立)」の変化したもの)
① 追い立てること。追っぱらうこと。
四河入海(17C前)一「我れは朝廷をばはやをったてにをうていく程に」
流人(るにん)京都から追放すること。
兵範記‐保元二年(1157)七月一七日「源頼行、自西七条辺領送使検非違使信澄追立之間、殺害番長了、又自害了」
③ 来た人から順に食べて帰る供応。滋賀県などでいう。

おい‐たて おひ‥【追立】

〘名〙
① 今いる所から、強制的に追い払おうとすること。追い立てること。
浄瑠璃天神記(1714)二「追たての官人共用意せよとひしめいて」
② 住んでいる住居などを立ち退くように、土地建物所有者から要求されること。たなだて。
※苦の世界(1918‐21)〈宇野浩二〉五「おひたてをくってゐる男の下宿にゐさふらふをする男のこと」
唐鋤(からすき)後部に柄のように長く出ている部分。〔和漢三才図会(1712)〕

ぼっ‐た・てる【追立】

〘他タ下一〙 ぼった・つ 〘他タ下二〙 (「おったてる」の変化した語)
① 追いたてる。追いまくる。
※浄瑠璃・出世景清(1685)一「百千万のけだ物をぼったて、ぼったて」
② 勢いよく立てる。おったてる。
※歌謡・松の葉(1703)三・やりをどり「振りやれお振りやれ大鳥毛の振袖・行列ぼったて東入り」

おい‐た・つ おひ‥【追立】

[1] 〘自タ四〙 他人の後を追って昇進する。後続して地位につく。
※愚管抄(1220)三「兼通(かねみち)はあにながら弟の兼家にこえられて、おひたたれたることは、さだめて様ありけん」
[2] 〘他タ下二〙 ⇒おいたてる(追立)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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