農民運動講習所(読み)のうみんうんどうこうしゅうじょ(英語表記)Nóng mín yùn dòng jiǎng xí suǒ

改訂新版 世界大百科事典 「農民運動講習所」の意味・わかりやすい解説

農民運動講習所 (のうみんうんどうこうしゅうじょ)
Nóng mín yùn dòng jiǎng xí suǒ

中国で第1次国共合作成立後,農民運動の指導者育成のため広州武昌にあいついで創立された講習所をいう。1924年7月,中国国民党農民部の管理下に彭湃の手によって設立された広州農民運動講習所は,その第1期から26年9月に終了した第6期まで合計772名の卒業生を出した。受講生は第3期までがほとんど広東人で,それ以後は湖南湖北,広西,江西など各省の出身者を広く採用した。教官には毛沢東周恩来,蕭楚女,惲代英,李立三ら中国共産党員の名がみられ,孫文もこの講習所で〈耕す者に田を〉の演説を行った。毛沢東が指導した第6期についてみると,農民問題,農業知識,ソ連状況,労働運動,各国革命史,帝国主義問題などの講義のほかに,軍事訓練,全国的な実地調査,各種革命出版物の閲読などを通して,共産党の理想とする農民運動指導者の組織的養成をはかっている。ついで27年1月,武漢国民党中央の決定によって武昌の湖南・湖北・江西三省農民運動講習所を拡張して中央農民運動講習所が設立された。毛沢東を中心に鄧演達,陳克文らが指導したこの講習所には全国17省の739名の受講生が集まり,そのうち半数以上が学生出身者であった。訓練内容は広州のそれとほぼ同じで,実際に地主勢力などとの戦闘にも参加した。同年6月,この講習所は閉校したが,両講習所で養成された幹部らは国民革命軍北伐に呼応して農民協会を組織するなど活躍し,その多く国共内戦の中で犠牲となった。
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