湖南(読み)こなん

精選版 日本国語大辞典 「湖南」の意味・読み・例文・類語

こ‐なん【湖南】

[1] 〘名〙 湖の南。また、その土地。特に、中国では、洞庭湖の南の地、日本では、琵琶湖南側の地の彦根近江八幡草津、大津一帯をさしていう。
※法性寺関白御集(1145か)草樹色初春「湖南碧岸新蘆露、陌上黄梢嫰柳塵」
※俳諧・本朝文選(1706)三・賦類・招魂賦〈支考〉「湖南の旧草に門人あそむでたましゐをまつ」 〔元稹‐送王十一南行詩〕
[2]
[一] 滋賀県南部地名野洲(やす)川中流域を占める。市西部石部東海道宿駅。平成一六年(二〇〇四)市制。
[二] 中国の省の一つ。洞庭湖南方に広がり、湘江が南北に流れる。省都は長沙。清末以来革命運動が盛んで、毛沢東をはじめ多数の指導者が輩出。湘(しょう)。楚南(そなん)

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デジタル大辞泉 「湖南」の意味・読み・例文・類語

こなん【湖南】

中国、中南部の省。省都は長沙ちょうさ揚子江中流の南部を占める。洞庭どうていがあり、湘江が流れる。米の大産地で、桐油・茶なども産し、養豚も盛ん。人口、6326万(2005)。湘。フーナン
滋賀県南部、野洲やす中流にある市。東海道五十三次石部いしべ宿があった。平成16年(2004)石部町甲西こうせい町が合併して成立。人口5.5万(2010)。
琵琶湖の南側の地。

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改訂新版 世界大百科事典 「湖南」の意味・わかりやすい解説

湖南[市] (こなん)

滋賀県南部の市。2004年10月石部(いしべ)町と甲西(こうせい)町とが合体し成立した。人口5万4614(2010)。

湖南市西部の旧町。旧甲賀郡所属。人口1万2378(2000)。南部は秩父古生層からなる阿星山系からなり,西部も山地が占める。水田は北境を西流する野洲川沿いに分布する。川沿いに国道1号線,JR草津線が走る。中心集落の石部は江戸時代は東海道の宿場町として栄え,石灰石の生産地としても知られた。第2次世界大戦後,国道1号線沿いに建築資材関係などの工場が多く進出したため,町内の製造業従事者は就業人口の50%を超えている。丘陵地では住宅地開発が進み,人口も増加傾向にある。東寺にある長寿寺本堂,西寺の常楽寺本堂,三重塔は国宝,白山神社拝殿,吉御子神社本殿などは重要文化財に指定。
執筆者:

近江国甲賀郡の宿駅。石部の名は《延喜式》の神名帳にみえる石部鹿塩上神社によっている。平安時代末に伊勢参宮の勅使が宿泊しており(《雅実公記》),駅が存在していたことがわかる。江戸時代には東海道五十三次の一つとして繁栄し,1843年(天保14)当時,宿内町並み15町3間,人口1606,家数458,本陣2,旅籠32を数えた(宿村大概帳)。
執筆者:

湖南市中東部の旧町。旧甲賀郡所属。人口4万1362(2000)。北部と南部は丘陵地,中央部を野洲川が北西流し,沿岸に水田が広がる。川沿いに国道1号線とJR草津線が走る。製造業従事者が50%を超え,北東部の湖南工業団地を中心に内陸工業地域として発展している。国道1号線沿いも工場進出が著しく,さらに北東部の丘陵地では大規模な住宅地開発が行われ,人口が急増している。岩根の善水寺本堂は室町初期の建築で国宝,菩提寺の廃少菩提寺石多宝塔および石仏は国の史跡に指定されている。また平松には天然記念物のウツクシマツ自生地がある。
執筆者:

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