輪之内(読み)わのうち

改訂新版 世界大百科事典 「輪之内」の意味・わかりやすい解説

輪之内[町] (わのうち)

岐阜県南西部,安八(あんぱち)郡の町。人口1万0028(2010)。濃尾平野の南西部にあり,東を長良川,西を揖斐(いび)川にはさまれた三角州上に位置する。大榑(おおぐれ)川が町の南辺を流れて揖斐川に注ぐ。低湿地で,町全体が堤防に囲まれ福束(ふくづか)輪中を形成し,町名もこれにちなむ。水害に悩まされ続けてきたが,江戸時代以降は次々に新田開発が行われた。1900年竣工の木曾川下流改修工事により治水問題は抜本的に解決され,明治・大正期には大地主への土地集中が顕著で,小作地率の高い輪中地域の一画をなした。西濃穀倉地帯で,米作を中心に野菜栽培や畜産が行われているが,大垣市や羽島市への通勤者も多い。町内には宝暦治水工事の史跡や薩摩藩士の墓が残る。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報