(読み)もうでる

精選版 日本国語大辞典 「詣」の意味・読み・例文・類語

もう‐・でる まう‥【詣】

〘自ダ下一〙 まう・づ 〘自ダ下二〙 (「まいず(参出)」の変化したもの) 貴所へ行く、至るの意の謙譲語
① 貴所・貴人もとへ出向く。参上する。後世、貴所、貴人のもとへでなくても、出向く意の謙譲表現に用いた。
書紀(720)雄略五年四月(前田本訓)「汝冝しく日本(やまと)に往(マウテ)天皇に事へまつれ」
神仏にお参りする。参詣する。
※書紀(720)天武四年二月(北野本訓)「十市皇子、女阿閇皇女、伊勢神宮に参赴(マウテ)ます」
[補注]「まゐる」との違いについては、「まうづ」の方がやや敬意が低いとする説、「まゐる」は公的移動、「まうづ」は私的移動を表わすとする説、「まゐる」は意識を到達点側に置き、「まうづ」は意識を起点側に置くとする説など、諸説ある。

もう‐で まう‥【詣】

〘名〙 (動詞「もうでる(詣)」の連用形名詞化)
① 貴人のもとへ参上すること。おうかがいすること。
蜻蛉(974頃)上「かうてありと聞き給へらんを、まうでこそすべかりけれ」
② 神仏にお参りすること。参詣。
※蜻蛉(974頃)上「ものへまうでせばや、かうものはかなき身の上も申さむ」

まで【詣】

(動詞「まうづ(もうず)」の未然・連用形「まうで」の変化したもの) 「まうで」の「う」の無表記とも、「まんで」のように発音されたものの「ん」の無表記ともいわれる。単独用法のほか、「まであう(詣合)」「までく(詣来)」「までつく(詣着)」のような複合動詞の形でも用いられる。→もうでる
多武峰少将物語(10C中)「愛宮御許にまで給ひて、立ちながら出で給へば」

けい‐・す【詣】

〘自サ変〙 もうでる。参詣する。
平家(13C前)五「かの妙音菩薩霊山浄土に詣して、不孝の輩(ともがら)をいましめ」

もう‐ず まうづ【詣】

〘自ダ下二〙 ⇒もうでる(詣)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「詣」の意味・読み・例文・類語

けい【詣】[漢字項目]

常用漢字] [音]ケイ(慣) [訓]もうでる いたる
高い所・境地に行きつく。「造詣
社寺にもうでる。「参詣

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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