西牟田村
にしむたむら
三潴町西牟田・筑後市西牟田に比定される中世の村。三潴庄東郷のうち。正治三年（一二〇一）二月一一日の四条家政所下文（寛元寺文書／鎌倉遺文二）によると、三潴庄内西牟田村の起請田ほか荒野田代二町が当村住人実顕（実賢）法師が造営した観音堂の仏聖灯油料として寄進されている。建仁元年（一二〇一）二月日の沙門実賢留記帳（同文書／鎌倉遺文三）は「水馬御庄西牟田村三間四面観音堂一宇」を再興した経過を記す。承久三年（一二二一）九月二八日の高良玉垂宮定額衆注文（御船文書／鎌倉遺文五）によると、西牟田には新定額最勝講十口料田一〇町のうち、背振山巧恵房万恵が知行する料田一町があった。仁治二年（一二四一）七月、三潴庄の領家四条隆親は西牟田村名主行西の申請に任せ村内の常々荒野五町を阿弥陀堂・観音堂寺敷地ならびに免田として与えている（「四条家政所下文」寛元寺文書／鎌倉遺文八）。ここに寛元寺（現筑後市）が建立され、建長六年（一二五四）六月、行西は再び四条家に西牟田村内の「寛元寺阿弥陀・観音両堂」免田六町の恒例課役の免除を申請し認められた（「四条家政所下文」同文書／鎌倉遺文一一）。「筑後将士軍談」巻三三に収める西牟田氏の系譜によると、西牟田家綱（法名行西）は伊豆国三島（現静岡県三島市）から嘉禎年間（一二三五―三八）に西牟田村に来住したとされ、代々弥次郎を称した。弘安二年（一二七九）三月八日、行西息西牟田家氏は西牟田村田一町一段を寛元寺に寄進した（「藤原家氏寄進状」寛元寺文書／鎌倉遺文一八）。
永仁四年（一二九六）一二月日の玉垂宮并大善寺仏神事記文（御船文書／鎌倉遺文二五）によると、西牟田村は大善寺玉垂宮（現久留米市）の大鳥居免田三町を有し、春祠使幣官料六斗・六月朔幣料米五斗（在公神楽）の神事用途を負担し、五月会で村田楽・尻巻・左方相撲人を出し、九月一九日の九月会では田河とともに十六番の頭役を勤め、分米五石一斗を負担した。
西牟田村
にしむたむら
[現在地名]熊本市秋津町秋田・秋津新町・東野・若葉五―六丁目・広木町
東は中牟田村、西は江津湖、南は下六嘉村（現上益城郡嘉島町）、北は託麻郡竹宮村で、秋津川・木山川、矢形川が合流し加勢川となる。上益城郡沼山津手永に属し、村高は「国誌」では四〇五石余で「間島ト云ウ小村アリ」とある。文化八年（一八一一）の沼山津手永略手鑑では「西無田村」と記され、本方四〇五石二斗余、田一三町一反八畝余・畑一四町六反二畝余、村々強弱は上で、質屋札一・諸漁札七（大川投網札三・蜘手札四）・商札二・馬口労札一・家根葺札一、川平田舟三がある。
西牟田村
にしむたむら
[現在地名]熊本市御幸西無田町
東は田迎手永の笛田村、西は高江村、南は平野村ならびに田迎手永の木部村で、熊本平野南部の水田地帯である。寛永一二年（一六三五）の地撫帳では惣畝数六一町一畝余・高五八一石五斗余で、うち御蔵納は上々田三反八畝余・上田一町九反余・中田七町六畝余・下田一一町二反三畝・下々田一六町三畝余、上々畑一反七畝余・上畑七反一畝余・中畑三町五反六畝余・下畑七町六反七畝・下々畑六町五反一畝余で、他に御寄下などがある。本庄手永に属し、「国誌」によれば違う手永だが「笛田村ノ内」とある。宝暦一二年（一七六二）の下ケ名寄帳では惣畝数五八町九反四畝余、うち御蔵納は田畑五七町九反二畝余・高五八一石五斗余で、下ケ名には八石沖割・八石苗床割・日焼・樋口などがある。
西牟田村
にしむたむら
[現在地名]鹿島市大字高津原字西牟田
現鹿島市の北部、鹿島川の南にあり、正保絵図に村名がみえる。江戸時代は鹿島支藩領に囲まれ、西方は蓮池支藩領に接する佐賀本藩領の村。
貞享四年（一六八七）改・元文三年（一七三八）写の御領中郷村帳（佐賀県立図書館蔵）には「東分能古見庄」に入り、享和元年（一八〇一）写の御領中郡村附には西分塩田郷に入り、「御蔵入、此村年貢取立白石南郷遣」となっている。鹿島郷大庄屋松尾兵蔵が弘化二年（一八四五）に書いた記録の中にも「御蔵入西牟田宿」という語があって、西牟田宿は蔵入地すなわち佐賀本藩領であった。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
