西澤潤一(読み)にしざわじゅんいち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西澤潤一」の意味・わかりやすい解説

西澤潤一
にしざわじゅんいち
(1926―2018)

工学者。宮城県生まれ。1948年(昭和23)東北大学工学部電気工学科を卒業し、1954年同助教授、1962年同教授、さらに1983年同電気通信研究所長、1990年(平成2)同総長、1998年岩手県立大学学長、2005年首都大学東京学長を歴任。電子材料の基礎的性質を研究し、半導体レーザーをはじめ、光通信に必要な発案をした。また静電誘導電界効果トランジスタSIT)、高輝度発光ダイオードなどを発明し、半導体研究をリードした。1974年「半導体およびトランジスタに関する研究」で日本学士院賞、1980年大河内(おおこうち)記念技術賞を受賞、1983年文化功労者、1989年(平成1)文化勲章受章。また1999年には日本人初のエジソンメダルを受賞した。

[編集部]

『西澤潤一著『半導体装置』(1961・近代科学社)』『西澤潤一・宮本信雄著『半導体材料学』(1968・近代科学社)』『喜安善市編、西澤潤一著『オプトエレクトロニクス』(1977・共立出版)』『半導体研究振興会・西澤潤一編『半導体研究』15~46巻(1978~2000・工業調査会)』『西澤潤一・須藤建著『電子工学基礎論』(1980・丸善)』『西澤潤一・餌取章男著『なぜ完全結晶を追究するのか――結晶の制御からオプトエレクトロニクスへ』(1996・三田出版会)』『西澤潤一・中村修二著『赤の発見 青の発見』(2001・白日社)』『西澤潤一著『テラヘルツ波の基礎と応用』(2005・工業調査会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西澤潤一」の意味・わかりやすい解説

西澤潤一
にしざわじゅんいち

[生]1926.9.12. 宮城,仙台
[没]2018.10.21. 宮城,仙台
半導体工学者。1948年東北大学工学部卒業。1954年同大助教授,1962年同大電気通信研究所教授,1983年から同研究所長となり,1990年東北大学総長に就任した。電子材料の基礎的性質について研究を重ね,静電誘導トランジスタ SITをはじめ,光通信の基本三要素(送信源,伝送路,受信器)の開発,光と電波の間の波長テラヘルツ」の研究など多くの独創的成果をあげた。「ミスター半導体」と呼ばれ,「光通信のニシザワ」として世界に知られた。1983年日本人初のモートン賞を受賞,文化功労者に選ばれた。1989年文化勲章を受章。著書に『「十年先を読む」発想法』(1986),『私のロマンと科学』(1990)などがある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「西澤潤一」の解説

西澤潤一 にしざわ-じゅんいち

1926- 昭和後期-平成時代の半導体工学者。
大正15年9月12日生まれ。昭和37年母校東北大の教授となり,平成2-8年学長。10年岩手県立大初代学長。静電誘導トランジスターを発明。高輝度発光ダイオードを開発,その量産技術を確立。また光通信を創始した。昭和49年学士院賞,58年モートン賞,平成元年文化勲章,7年学士院会員。12年エジソン賞。17年首都大学東京学長。宮城県出身。

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