完全結晶(読み)カンゼンケッショウ(英語表記)perfect crystal

デジタル大辞泉 「完全結晶」の意味・読み・例文・類語

かんぜん‐けっしょう〔クワンゼンケツシヤウ〕【完全結晶】

格子欠陥不純物を含まない結晶事実上存在しないため、概念的に考えられた理想的な状態にある結晶をさす。理想結晶

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「完全結晶」の意味・わかりやすい解説

完全結晶
かんぜんけっしょう
perfect crystal

結晶の中に不純物,転位などの格子欠陥を含まない理想的な規則性をもつ結晶。格子欠陥による散乱がないので電子は高い移動度をもち,電気伝導性がよい。また結晶の塑性は転位の運動によるので,完全結晶では機械的強度が高い。現実の結晶にはなんらかの格子欠陥が存在するので,これらの性質が大きく変り,この性質から結晶の完全度が推定できる。たとえば特殊な結晶成長によってひげ結晶のような完全結晶に近い結晶が得られる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

化学辞典 第2版 「完全結晶」の解説

完全結晶
カンゼンケッショウ
perfect crystal

結晶全体にまったく同一方向の結晶軸をもち,理想的に三次元の周期構造が成り立つ結晶.格子欠陥などのない理想的な結晶を意味するが,実際的にはこの理想に近いものも完全結晶という.[別用語参照]単結晶モザイク結晶

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の完全結晶の言及

【格子欠陥】より

…理想的な結晶においては,原子は規則正しい格子をつくって並んでおり,このような結晶は完全結晶と呼ばれる。しかし実際に得られる結晶では,この規則性は少し乱れており,この乱れを格子欠陥と呼ぶ。…

※「完全結晶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」