精選版 日本国語大辞典 「ロマン」の意味・読み・例文・類語
ロマン
(2)漢字「浪漫」「浪曼」をあて、そのまま字音読みで「ろうまん」と言うこともある。
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フランスの小説家,劇作家,詩人。本名Louis Farigoule。偶然の詩的体験が,文学者としての針路を決定することとなった。パリの街を散策中に,自分の心身がひとつのリズムを伴って街の大きな全体のなかに溶け込むかのような感じを味わったのである。この体験こそが,デュアメルらの〈僧院(アベイ)〉派の友人たちの手で印刷されて日の目をみた詩集《一体生活》(1908)の底流をなすものである。以後彼は,個人よりも集団を,個人と個人のふかしぎな結合から生まれる集団の精神,〈新しい神々〉を,好んで描くようになる。小説《ある男の死》(1911)を経て,三部作《プシシェPsyché》(1922-29)に至り,夫婦間の心身の愛情の諸相を語りながら一体的生の神秘を描こうとする。〈ユナニミスムunanimisme〉と呼ばれるこの非体系的思想の,気宇壮大な表現が,全27巻の大河小説《善意の人々Les hommes de bonne volonté》(1932-47)である。これは1908年から33年までのヨーロッパの社会を,1000人以上もの人物を登場させて立体的に描こうとした作品であった。そして,風刺喜劇《ル・トルーアデック氏の放蕩》(1923),《クノック,あるいは医学の勝利》(1923)などの劇作家としての輝かしい成功も,現代演劇史の一事件であった。
執筆者:若林 真
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…この標準的な小説概念によると,小説とは散文による相当な長さの虚構物語(フィクション)で一定のまとまりと構造をもち,現実生活に即した人物と事件を扱うものをいう。この考え方だと短編小説,観念小説,怪奇小説,ファンタジーやSF,ヌーボー・ロマンやポストモダニズムなどと呼ばれる最近の前衛的小説などが入らなくなるが,これらの小説も標準的小説の多くの特徴を取りいれており,また伝統的小説に反逆して書かれた前衛的小説にしても,この標準的小説概念を前提として含んでいるといえる。 この標準的な小説に対立するものとして,一方にロマンス,他方にアレゴリーないし寓意物語がある。…
※「ロマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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