西会津(読み)にしあいづ

改訂新版 世界大百科事典 「西会津」の意味・わかりやすい解説

西会津[町] (にしあいづ)

福島県北西端,耶麻郡の町。人口7366(2010)。越後山脈を境に新潟県と接する。町域は南北に細長く,中央を阿賀川が西流し,これと並行してJR磐越西線と国道49号線(旧越後街道)が通じる。97年全線開通した磐越自動車道の西会津インターチェンジがある。町域の大部分は山地で,冬季の積雪は2mを超す豪雪地帯である。中心の野沢は阿賀川南岸の段丘上に位置し,近世は会津藩の廻米の主要輸送路であった越後街道の宿場町で,村上藩主新発田(しばた)藩主の参勤交代用の本陣が置かれ,阿賀川舟運の拠点としてもにぎわった。明治以後,屋根葺きや酒造り出稼ぎが多くみられた。かつてはウルシ,和紙などを産したが衰退し,米作養蚕で栄えたが,戦後の葉タバコ栽培を経て,現在は米作中心である。過疎化,兼業化,高齢化が進行しており,温泉健康保養センター〈ロータスイン〉を整備し,人口の定着に努めている。会津桐の産地でも知られる。真言宗の円満寺には1579年(天正7)修築といわれる室町期の唐様建築の観音堂(重要文化財)がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報