日本大百科全書(ニッポニカ) 「越後山脈」の意味・わかりやすい解説
越後山脈
えちごさんみゃく
新潟県と山形・福島・群馬3県の県境を北東―南西に走る脊梁(せきりょう)山脈。南西部は三国(みくに)山脈に接続する。その主軸は東北日本を構成する大八洲(おおやしま)造山帯の古期褶曲(しゅうきょく)帯に属する出羽(でわ)山地の延長で、山体は秩父(ちちぶ)中・古生層に貫入した花崗(かこう)岩類や閃緑(せんりょく)岩からなり、第三紀鮮新世直後の激しい地盤運動を受けて隆起し、山頂部は花崗岩類の壮年期的侵食によって、峻険(しゅんけん)な山容を呈している。北部は大朝日岳(1871メートル)を中心とする朝日山地と、葡萄山地(ぶどうさんち)(蒲萄山地(ぶどうさんち))が並列し、その間に三面盆地(みおもてぼんち)などの山間盆地が発達する。その南には荒川峡を隔てて、飯豊(いいで)山(2105メートル)、大日(だいにち)岳(2128メートル)、二王子(におうじ)岳(1420メートル)などの分派する雄大な飯豊山地が続き、東北型山岳美の山容を誇り、磐梯朝日国立公園(ばんだいあさひこくりつこうえん)地区に指定されている。その前山をなす第三紀の櫛形丘陵(くしがたきゅうりょう)、五頭丘陵(ごずきゅうりょう)は新潟県の胎内(たいない)二王子県立自然公園、五頭連峰県立自然公園に指定されている。さらに阿賀野(あがの)川を越えて東蒲原(ひがしかんばら)郡に入ると、粟(あわ)ヶ岳(1293メートル)、駒形(こまがた)山(1072メートル)などを主峰とする駒形山地が続き、新潟県の奥早出粟守門(おくはやであわすもん)県立自然公園に指定されている。南端は守門岳(1537メートル)、浅草岳(1585メートル)などの鳥海火山群(ちょうかいかざんぐん)と、八海(はっかい)山(1778メートル)、中ノ岳(2085メートル)、駒ヶ岳(2003メートル)などの連なる越後三山、および荒沢(あらさわ)岳(1969メートル)、平(ひら)ヶ岳(2141メートル)などの県境山地で構成される銀山山地(ぎんざんさんち)が国有林樹海をなし、越後三山只見国定公園(えちごさんざんただみこくていこうえん)に指定されている。かかる2000メートル級の山容と、峡谷美は最大観光資源であるとともに、反面、東西交通の大きな障害となり、わずかに雷(いかずち)峠、鳥井峠、八十里越(ごえ)、六十里越などの古い峠越えが他県への通り道になっている。また、奥三面、大白川などの奥地落人(おちゅうど)伝説村もある。
[山崎久雄]