複層林(読み)フクソウリン

デジタル大辞泉 「複層林」の意味・読み・例文・類語

ふくそう‐りん【複層林】

樹齢樹高の異なる樹木で構成され、樹冠部分が何層にも分かれている林。自然林に多い。⇔単層林

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「複層林」の意味・わかりやすい解説

複層林
ふくそうりん

枝葉の茂る層が複数ある森林。それに対して一層からなる森林を単層林という。同齢の森林でも林齢が増すにつれて、さまざまな世代の木が混ざって育つようになり、しだいに複層林化していき、天然林は複層林であるものが多い。複層林は複相林とよばれることもある。階層はかならずしも上下に重なったものではなく、高木林冠ギャップに低い木が成立していることが多いからである。林冠とは樹冠(枝葉の部分)が連なったもので、ギャップとは林冠に空いた孔のことである。ギャップは風倒や伐採などによって生じる。人工林の複層林は択伐林とほぼ同義である。

 人工林で複層林を造成管理していくには高度な技術を要するが、複層林は一つの林分(同じような構造の森林のひとまとまり)で継続的、定期的に収穫でき、林地の保全に優れているなどの長所がある。

[藤森隆郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の複層林の言及

【森林】より

…(1)青森のヒバ林は下北,津軽の両半島に分布している。下北半島では南部藩がヒバの大径木から順に抜き切りをしていたので,若干若く複層林型を示し,津軽半島では津軽藩がヒバの伐採を制限していたので老齢な一斉林型が多い。両半島のヒバ林に対して昭和の初期からその一部に天然林施業実験林を設け,理想的な施業を行っている。…

※「複層林」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android