精選版 日本国語大辞典 「藍藻植物」の意味・読み・例文・類語
らんそう‐しょくぶつ ランサウ‥【藍藻植物】
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植物分類学上の一門として扱われる藻類(藍藻類)。世界で約1500種、日本には約450種が生育する。光合成色素としてクロロフィルaのほか、β(ベータ)-カロチン、ミクソキサントフィル、ミクソキサンチン、c-フィコエリスリン、c-フィコシアニンなどの色素をもち、体色は赤紫色から褐色、藍(あい)色、緑色とさまざまである。また、乾燥すると黒色となるものが多い。同化物質は藍藻デンプン、シアノフィシンなどである。細胞質は中心質と周辺質とに分かれ、細胞内に液胞はみられない。核膜に包まれた核はなく、核物質は中心質に存在する。また、葉緑体も膜に包まれず、多数の一重チラコイドラメラ(葉緑体の構造単位となる薄い層)が分散状態で周辺質に存在する。有性生殖は知られておらず、無性生殖によってのみ殖える。生殖細胞は鞭毛(べんもう)をもたないため、遊泳性はない。このような特徴から、藍藻植物は無核生物、あるいは原核生物、分裂藻ともよばれて、現生する植物のなかでもっとも未分化な特徴を残す植物とされている。
藍藻植物の体構造には、単細胞のもの、単細胞のものが集合して群体をつくるもの、細胞が長く連なった糸状のもの、糸状体が多数集まって群体をつくるものなどがある。体制と無性生殖の方法によって4、5目に分類される。
藍藻植物の生育場所は、全植物界のなかでもっとも広い。極地から熱帯まで、あるいは高山から低地までといった広がりのほか、淡水、海水のみならず、一時的に湿り気をもつような場所にまで生育し、しかも共通種が多い。ときに爆発的に殖えて池、沼、湖などの水面一帯を覆い尽くす「水の華(はな)」という現象を引き起こしたり、氷雪藻(赤雪(あかゆき)ともいわれ、氷や雪の表面が溶けた部分に発育する藻類)として出現したり、80℃以上の温泉中に生育するものもある。このほか、藻類と菌類の共生体である地衣植物の共生藻としても出現する。
[吉崎 誠]
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