花輪(生花や造花を環状につくったもの)(読み)はなわ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

花輪(生花や造花を環状につくったもの)
はなわ

生花あるいは造花環状につくったもので、表彰または慶弔の意を表すために用いる。西洋では花輪は英語でガーランドgarlandまたはリースwreathとよばれているが、どちらも起源は同じで、リースは勝利者に贈る花冠の意味にも、葬儀の花輪の意味にも用いられる。古代には、冬にも葉を茂らせている常緑樹は魔法的な力をもっていると信じられていて、多くの民俗を生み、ギリシアでは初期には常緑樹を魔除(まよ)けに用いていたが、のちこれに花を加えて花冠、花綵(はなづな)、花輪などをつくるようになり、ローマ時代には花冠coronaが勝利者のシンボルのほか宴会あるいは葬儀に広く用いられるようになった。この風習キリスト教に受け継がれて、それぞれの花のシンボルがキリスト教的な意味に変わり、鉄製の花輪を墓地に飾ったり、墓石に花輪を彫ることなども行われている。このほか一般の儀礼的なものとして、ハワイ諸島その他で訪問者の首にかけて歓迎の意を表す生花のレイleiは広く知られている。

 日本では、大正時代葬儀社発案吉凶に花輪を贈る習慣が生まれ、ほとんど造花が用いられて、仏式の葬儀や開店祝いなどに飾られるが、近年はキリスト教の教会結婚式に花嫁が生花の花冠(ティアーラtiara)をつける風習もみられる。

[佐藤農人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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