花淵浜(読み)はなぶちはま

日本歴史地名大系 「花淵浜」の解説

花淵浜
はなぶちはま

[現在地名]七ヶ浜町花淵浜

町の東端菖蒲田浜しようぶたはま吉田浜よしだはまの間に位置。浜名の由来については諸説があるが、「封内風土記」や「安永風土記」によると、式内社鼻節はなぶし神社が鎮座する所であり、神号を浜名とし古くは鼻節と書いたが、村人が神号をはばかって花淵と文字を改めたという。花淵崎の北端たて崎に鎌倉期築城形式の花淵城跡がある。東西七〇間、南北三〇間の山城城主は花淵紀伊と伝える(仙台領古城書上)。紀伊は伊沢(留守)家景の家臣で着座の地位にあり、代々紀伊と称し地名を姓とした。建久元年(一一九〇)から留守家没落の天正一八年(一五九〇)までの四〇〇年間在住し、留守家継嗣問題では政景迎立派の主唱者の一人であった。留守分限帳(留守文書)の御館之人数のなかに「花ふし治部少輔」、里之人数に「花ふし平ひやうへ」がみえる。城跡は、北東の一部は花淵港築港工事の際切崩されてはいるが、その他は原形を残している。東は絶壁で海に臨み、南は空壕をもって丘陵に続き、北は城外に空壕を掘り、花淵浜を挟んで吉田城跡に対し、西は水田を控え、崖下と城下に花淵の集落がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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