舅・姑(読み)しゅうと

精選版 日本国語大辞典 「舅・姑」の意味・読み・例文・類語

しゅうと しうと【舅・姑】

〘名〙
① (舅) 配偶者の父。夫の父、または妻の父。しゅうとお。しゅうとおや。
書紀(720)欽明七年是歳(寛文版訓)「其の舅氏(シウト)は麁群なり。小夫人子を生めり。其の舅氏は細群なり」
※枕(10C終)七五「しうとにほめらるるむこ」
② (姑) 配偶者の母。夫の母、または妻の母。しゅうとめ。〔運歩色葉(1548)〕
③ 配偶者の兄弟姉妹。こじゅうと。
歌舞伎幼稚子敵討(1753)六「伊与之助殿の為には大学は舅」
番犬のことをいう、盗人仲間の隠語。〔日本隠語集(1892)〕
落語・閉込み(1897)〈三代目柳家小さん〉「犬の吠えることを舅が八釜(やかま)しいと云ふので有りますが」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「舅・姑」の意味・わかりやすい解説

舅・姑
しゅうとしゅうとめ

舅は夫の父(妻の父は外舅(がいきゅう))、姑は夫の母(妻の母は外姑(がいこ))であるが、日本ではすべてを「しゅうと」とよび、とくに夫の母(姑)をおもにさした。男系相承の家族制下では、他家から入嫁した妻と、姑との人間関係に問題が生じやすかったからであろう。しかし招婿婚制とよばれる平安貴族の家族などではまったく別趣であって、むしろ近世以後、職能身分制の体制下に家業相承を原則として直系世代家族の形が一般化してから、嫁姑の関係に種々不調和の事態を生じがちになった。家業相承を土台とする親子2世代夫婦の家族生活では、親の権威は強く、とくに家事管理では姑が実権を久しく握って嫁の立場は弱く、「家風」を早く体認させるという名目底意地の悪い「嫁扱い」も行われやすく、これに夫の姉妹(小姑(こじゅうと))などもときには加わった。いわゆる「嫁いびり」であり、婚後数年間の離婚がかつて多かったのも、おもにそのためといわれている。しかしこうした嫁姑関係はかならずしも一般的ではなく、個々の家々の事情にかかわり、嫁の境涯がつねに悲劇に終始したというわけではない。とくに隠居慣行の一般的であった地帯も意外に広く、そこでは「家」は分立せずに夫婦単位に世帯(生活単位)を別にし、しかも若夫婦は婚後まもなく家長の地位についたのである。近年の都市家族ではむしろ生活能力の減退した老夫婦、とくに姑の扶養問題が新しい課題となり、老人福祉のあり方とも相関して、舅姑(老夫婦)の生活問題が種々論議されるに至っている。

[竹内利美]

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