脇野沢村
わきのさわむら
[現在地名]脇野沢村脇野沢
下北半島西南部、湯ノ沢山（五五七・七メートル）・人切山（四五九メートル）を源流とし陸奥湾に注ぐ脇野沢川の河口付近に位置する。脇野沢川流域・陸奥湾沿岸に支村が散在。東は小沢村と境し、西は平舘海峡を隔てて弘前藩領である。本村の南約二キロ、牛ノ首崎の沖に弁天島（鯛島）があり、周辺は有力な鱈漁場であった。康正年間（一四五五―五七）の蠣崎の乱の頃は「鬼沢」と称したというが（東北太平記）、委細不明。
正保四年（一六四七）の南部領内総絵図に脇野沢村九石余とみえ、同年の郷村帳によれば九・二四三石のうち五・七四九石が畑であった。寛政年間（一七八九―一八〇一）の「邦内郷村志」には高九三・二石余、うち畑四八・八石余とあり、戸口は一八七軒・一千三人。享和三年（一八〇三）の仮名付帳では家数九二で、支村として本村西の往還筋に新井田一三軒・寄波一軒・蛸田四軒・九艘泊九軒、脇野沢川流域に滝山五軒・片貝六軒・源藤城一一軒があった。田名部通に属する。
延宝三年（一六七五）「たちらち」、同五年「情能浜」「奴いどうか沢」「九艘泊」に塩釜が設けられた（雑書）。「邦内郷村志」には地船四艘・漁船二〇艘、塩釜一工とあり、馬四〇疋・牛一〇三疋を飼養。「多漁人、冱有大口魚漁釣、出於万漁」とあり、鱈を産する。鱈は陸奥湾内随一の水揚高を誇り、おもに江戸に運ばれ、塩蔵も行われた。「原始謾筆風土年表」の天明元年（一七八一）の項に「脇野沢水鱈役二十六両位にて有しか、五六十両の受負となり、其後百五六十両に及しも、文化に至て東蝦夷より逾江戸直く廻の鱈多くして百両位に成行り」とある。
脇野沢村
わきのさわむら
面積：五八・四九平方キロ
下北半島北部の西南端に位置し、西は平舘海峡を隔てて津軽半島に対する。南は陸奥湾に面し、対岸に夏泊半島を望む。北は湯ノ沢山（五五七・七メートル）で佐井村と接し、ここから南東に連なる人切山（四五九メートル）・二股山（四三一・三メートル）の稜線をもって川内町に接する。平舘海峡に面する西部海岸は穴間山（二九八メートル）・ガンケ山（三〇四・四メートル）の切立つ急崖が海に迫り、九艘泊以北の海岸には陸路が通じていない。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
