脂下(読み)やにさがり

精選版 日本国語大辞典 「脂下」の意味・読み・例文・類語

やに‐さがり【脂下】

〘名〙
雁首を上にあげて、キセルをくわえること。
※談義本・根無草(1763‐69)後「銀煙管脂下(ヤニサガリ)にくはへ」
② 気どった態度。また、得意然とした、高慢な態度。〔洒落本胡蝶夢(1778)〕
③ (様子が①に似ているところから) こじりを下げて刀をさすこと。刀をおとしざしにすること。
※洒落本・新吾左出放題盲牛(1781)侠八歯臍「我(われ)がその真木ざっぱを壱本半、やにさがりにさして居たとって、怖くも恐ろしくも何ともねへ」

やに‐さが・る【脂下】

〘自ラ五(四)〙
① キセルの雁首を上に上げてタバコをくゆらす。
※洒落本・深川新話(1779)「きせる斜にやに下り、ぎちこぎちこと漕行ば」
② 気どってかまえる。高慢な態度をとる。現在では、いい気分になってにやにやする意にいう。
※雑俳・柳多留‐一六(1781)「やに下り世上にまなこたかい顔」
※苦の世界(1918‐21)〈宇野浩二〉六「色女とやにさがってるやうなところを」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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