育児支援家庭訪問事業(読み)いくじしえんかていほうもんじぎょう

知恵蔵 「育児支援家庭訪問事業」の解説

育児支援家庭訪問事業

子供の養育について支援が必要でありながら、自ら外に支援を求めることが困難な家庭に対し、家庭訪問などの積極的なアプローチを行う、厚生労働省の事業。育児家事援助などを行い、家庭での安定した子供の養育を可能とする。実施主体は市区町村。対象は、(1)出産後間もない時期に、育児ストレス、産後うつ病などが原因で母親が子育てへの不安や孤立感等を抱いている家庭、(2)引きこもりなど家庭養育上の問題を抱える家庭や、児童養護施設等退所後の子供の自立へのアフターケアが必要な家庭、(3)心身発達が正常範囲にないなど、将来、精神・運動・発達面等に障害を招く恐れのある子供のいる家庭。2007年度には全国897市区町村で実施。 援助内容は、まず、1)子育てOB(経験者)やヘルパーまたは保健師、助産師などによる家庭内での育児に関する援助として、(1)産褥期(さんじょくき)の母子に対する育児指導や簡単な家事等の援助、(2)未熟児多胎児等に対する育児指導・栄養指導、(3)養育者に対する身体的・精神的不調状態に対する相談・指導、(4)若年の養育者に対する育児相談・指導、(5)児童が児童養護施設等を退所後にアフターケアを必要とする家庭等に対する養育相談・支援であり、さらに、2)発達(相談・訓練)指導が必要な家庭には、理学療法士等を派遣して、家庭の状況等に即した発達指導を行う。07年にスタートした「こんにちは赤ちゃん事業」の受け皿としても強化が求められる。

(中村敬 大正大学人間学部人間福祉学科教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報