而(漢字)

普及版 字通 「而(漢字)」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 6画

[字音]
[字訓] ひげ・しこうして

[説文解字]
[金文]
[その他]

[字形] 象形
頭髪を切って、結髪をしない人の正面形。雨乞いをするときの巫女(ふじょ)の姿で、需とは雨を需(もと)め、需(ま)つことを示す字で、雨と、巫女の形である而とに従う。濡・儒はその系統の字である。〔説文〕九下に「頰毛(けふまう)なり。毛の形に象る」とし、(じ)(ひげ)の初文とみている。〔段注〕に「須(ひげ)なり」と改め、その象形であるという。〔説文〕の(たい)字条九下に「罪あるも(こん)に至らざるなり」とあり、とは頭髪を落とす刑、はその一部を残すので彡(さん)を加えるが、而はの形である。巫祝にその状のものが多かったのであろう。請雨を需といい、その人を儒という。儒はもとその階層の、特に葬事に従うものであった。(ぜん)は懦弱(だじゃく)の人、(たん)は柔毛の生ずる意であろう。而を代名詞や接続詞・助詞に用いるのは、みな仮借義である。

[訓義]
1. 髪のないひと、みこ、雨乞いみこ。
2. ひげ、ほおひげ
3. 汝・爾・若と通用し、なんじ、二人称に用いる。
4. 乃・然と通用し、しこうして、接続の語に用い、多く順接。ときに逆接に用いて、しかれども。
5. 如・若・爾と通用し、形容語の語尾、また終助詞に用いる。
6. 能と通用し、よく、よくす。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕而 シカモ・シカリ・ナムチ・ナムタチ・シテ・ノコル・ゴトシ・シカク/然而 シカレドモ 〔字鏡集〕而 ノコル・ゴトシ・シカリ・ナムタチ・ツラノケ・スナハチ・ヨシ・シテ・シカモ・ナムチ・ヨル

[部首]
〔説文〕にをこの部に属し、耐をその異文とする。〔玉〕も同じ。而・耐は能と声の通ずる字で、漢碑の〔督郵斑碑〕に「きを柔らげ爾(ちか)きを而(よ)くす」のような例がある。

[声系]
〔説文〕に而声として(耐)・など九字を収め、(たん)声・需(じゆ)声の字をその別系とする。・需もまた而の声義を承ける字である。

[語系]
而nji、乃nは声近く、代名詞や承接の語として同じく用いる。また如njia、(若)njiak、然njian、爾njiaiも形容詞を作る語尾、その他の用義法に同じように用い、また汝njia、nは乃・如・・爾とともに代名詞に用いる。これらの用法にはもとその本字とすべきものがなく、象形その他の方法で示しがたいものであるから、みな声を仮借して用いる。

[熟語]
而已・而下而況而還・而后而後而公而今而夫而父・而来・而立
[下接語]
殷而・魁而・而・閑而・好而・悽而・愴而・殆而・悵而・

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報