翁島(読み)おきなじま

日本歴史地名大系 「翁島」の解説

翁島
おきなじま

[現在地名]猪苗代町翁沢

猪苗代湖の北西端、同湖上に浮ぶ唯一の島で、周囲約一・五キロ、面積約七ヘクタールの無人島である。石英安山岩質の火砕流(翁島泥流とよばれる)によって覆われており、泥流丘陵の一つとされる。磐梯朝日ばんだいあさひ国立公園に含まれる。「新編会津風土記」では昔老夫婦が住んでいたのが島名の由来といい、また当地に残される伝承では「おきな」とよぶ機織乙女が住んでいたことにちなむという。伝承によると、巡錫中の空海が当地方で水(一説には布)を請うてことごとく断られたが、おきなだけはこれに応じた。その後一帯は大雨が降り続き、空海の水乞を断った家は湖底となったが、おきなの住む所だけは水没を免れ島となったという。

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改訂新版 世界大百科事典 「翁島」の意味・わかりやすい解説

翁島 (おきなじま)

福島県中部,猪苗代湖北西隅にある小島。耶麻郡猪苗代町に属する。面積約7ha,周囲約1.3kmの小島で,現在は無人島。対岸の丘陵地域と同じく,古い時代に北部から流下したと推定される泥流丘陵(翁島泥流)の一部であり,付近の湖底にも類似の小起伏の浅瀬が二,三みられる。最高点は標高536mで湖面より22mの比高をもつが,全体はなだらかで,ハンノキやアカマツなどが密生している。対岸は1955年猪苗代町と合併するまでの翁島村にあたり,翁島港(長浜港)が猪苗代湖観光の基地となっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「翁島」の意味・わかりやすい解説

翁島
おきなじま

福島県中央部、猪苗代湖(いなわしろこ)内の北西部にある小島。耶麻(やま)郡猪苗代町に属す。周囲約1.5キロメートル。面積約0.1平方キロメートル。最高点は536メートルで、猪苗代湖面より22メートル高い。第四紀初期と推定される火山性泥流の翁島泥流堆積物(たいせきぶつ)が猪苗代湖面を上昇させた際、水没を免れた部分にあたる。対岸との間に砂嘴(さし)の成長がみられる。地名の由来に、「おきな」という島の乙女が弘法(こうぼう)大師(空海)をもてなしたという伝説がある。かつては翁島村を構成したが、現在は居住者はない。

[中村嘉男]

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デジタル大辞泉プラス 「翁島」の解説

翁島

福島県猪苗代湖内にある島。

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