総て・惣て・渾て・凡て・都て・全て(読み)すべて

精選版 日本国語大辞典 の解説

すべ‐て【総て・惣て・渾て・凡て・都て・全て】

(動詞「すべる(統)」の連用形に助詞「て」のついてできたもの)
[1] 〘副〙 多くの事物事象を統括してひとまとめにしていう語。漢文訓読から出た語。
① 全部とりまとめて。万事何もかも。残らずみんな。ことごとく。
書紀(720)安閑元年閏一二月(寛文版訓)「仍りて上の御野(みの)・下の御野・上の桑原・下の桑原、并て竹村(たかふ)の地(ところ)、凡合(おほスヘテ)肆拾町(よをところ)を奉献りつ」
※源氏(1001‐14頃)橋姫「行ひ人どもに、綿・絹、袈裟・衣など、すべてひと領(くだり)のほどづつ、ある限りの大徳たちに給ふ」
② 一般的に。総じて。おしなべて。だいたい。いちめんに。
蜻蛉(974頃)下「しばしは気色見せじ。すべてありやうに従はん」
※仮名草子・伊曾保物語(1639頃)中「すべて、女は邪路に入やすく、能道には入りがたし」
③ (下に打消の語を伴って) 全く。いっさい。決して。少しも。
※大和(947‐957頃)一〇三「すべて音もせで五六日になりぬ」
※方丈記(1212)「塵を煙の如く吹き立てたれば、すべて目も見えず」
[2] 〘名〙 物の全部。また、事柄の顛末(てんまつ)のいっさい。
滑稽本浮世床(1813‐23)初「役者にかぎらずすべての事が若人(わかて)の行はれる世界さ」
測量船(1930)〈三好達治〉私と雪と「そして私は総てを了解した」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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