精選版 日本国語大辞典 の解説
すべ‐て【総て・惣て・渾て・凡て・都て・全て】
(動詞「すべる(統)」の連用形に助詞「て」のついてできたもの)
① 全部とりまとめて。万事何もかも。残らずみんな。ことごとく。
※源氏(1001‐14頃)橋姫「行ひ人どもに、綿・絹、袈裟・衣など、すべてひと領(くだり)のほどづつ、ある限りの大徳たちに給ふ」
② 一般的に。総じて。おしなべて。だいたい。いちめんに。
※蜻蛉(974頃)下「しばしは気色見せじ。すべてありやうに従はん」
※仮名草子・伊曾保物語(1639頃)中「すべて、女は邪路に入やすく、能道には入りがたし」
③ (下に打消の語を伴って) 全く。いっさい。決して。少しも。
※大和(947‐957頃)一〇三「すべて音もせで五六日になりぬ」
※方丈記(1212)「塵を煙の如く吹き立てたれば、すべて目も見えず」
[2] 〘名〙 物の全部。また、事柄の顛末(てんまつ)のいっさい。
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