精選版 日本国語大辞典 「紛・擬」の意味・読み・例文・類語
まがい まがひ【紛・擬】
〘名〙 (動詞「まがう(紛)」の連用形の名詞化)
① 入り乱れること。まざって区別のつかないこと。
※万葉(8C後)一五・三七〇〇「あしひきの山下光るもみち葉の散りの麻河比(マガヒ)は今日にもあるかも」
② あやまち。過失。まちがい。つまずき。
③ 見違えるほどよく似せてあること。また、そのもの。贋物。まがいもの。
※俳諧・犬子集(1633)二「柳にやさかでまがひの糸ざくら〈慶友〉」
④ 古相撲の手のうち、四十八手以外のもの。鴨入首(かものいれくび)・向附(むこうづき)・逆附(さかづき)・鴫羽返(しぎのはがえし)・衣被(きぬかずき)・悔(とうぼうがえし)・水車(みずぐるま)・大意(つみのおおごころ)・繋前後(かけのまえうしろ)・磯並枕(いそのなみまくら)・たちがん・居眼(いがん)・猿一飛(さるのひととび)・夢枕(ゆめのまくら)の称。
※古今相撲大全(1763)下末「十二之紛(マガヒ)」
まが・う まがふ【紛・擬】
[1] 〘自ハ四〙
① 分けることができないほどに入りまじる。まじりあって区別がしにくい。
※万葉(8C後)五・八四四「妹が家(へ)に雪かも降ると見るまでにここだも麻我不(マガフ)梅の花かも」
② よく似ていてまちがう。見分けたり、聞き分けたりできないほどよく似ている。似通う。
[2] 〘他ハ下二〙 ⇒まがえる(紛)
まが・える まがへる【紛・擬】
〘他ハ下一〙 まが・ふ 〘他ハ下二〙
① 入りまぜて区別しにくくする。入り乱れさせる。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇「天は名華及妙香末を雨りて繽紛(マガヘ)乱へ墜して」
② まちがえさせる。
※万葉(8C後)八・一六四〇「吾が岡に盛りに咲ける梅の花残れる雪を乱(まがへ)つるかも」
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